鉄道業界と航空業界は、長距離輸送ではライバル関係ですが、会社によっては共存関係にあるものも。東京モノレールのような空港連絡鉄道はもちろん、西日本鉄道や北陸鉄道など、空港の地上作業を受託する関連企業を傘下に持つ鉄道会社もあります。さらには、鉄道会社が航空会社の経営に間接的に関わっていたり、あるいは航空輸送業を直接営むこともありました。
有名なのは、東急グループだった日本エアシステム(JAS)。日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)に次ぐ国内3位の事業規模をほこった航空会社でしたが、経営悪化によりJALに吸収され、2004年にJASとしてのブランドは消滅しました。
ちなみに、東急が運営する博物館「電車とバスの博物館」には、国産旅客機YS-11の前頭部が展示されています。この機体は、JASの前身である東亜国内航空が使用していたもので、かつての東急と航空会社の関係を今に伝えるものとなっています。
JALとしのぎを削るANAは、名鉄と蜜月の関係。名鉄は、ANAの前身の一つである日本ヘリコプター輸送時代から深い関係を築いており、かつてはANAの筆頭株主だったこともありました。現在でも、名鉄とANAがMaaSで連携したり、両社共同の子ども向け体験ツアーが開催されるなど、その仲は続いています。
意外なところでは、かつてはJR東海がヘリコプターを運航する子会社を有していました。ファーストエアートランスポートというこの会社は、上空から鉄道沿線を点検するなどの事業を手掛けていたのですが、2023年4月に他の航空会社に吸収合併されてしまいました。
さらに1960~70年代には、京成電鉄もヘリコプターを運航していました。当時あった遊園地「谷津遊園」内のヘリポートをベースに、遊覧飛行を実施していたといいます。ヘリコプター事業は、後に関連会社に移管されましたが、この会社も現在は消滅してしまったようです。