5月にJR北海道で引退したキハ141系は、客車を気動車に改造して生まれた、今では珍しいタイプの車両でした。とはいえ、このような改造は、客車にモーターやエンジンを載せたり、あるいは電車や気動車から自走用の機器を取り外せばいいので(言うほど簡単ではありませんが)、戦前からさまざまな会社が実施していました。
今も残る、電車から改造した客車の一つが、大井川鐵道のスイテ82形とナロ80形。国鉄のSL現役時代から活躍する、いわゆる「旧型客車」のような雰囲気を持つ車両ですが、いずれも西武鉄道の電車(501系または351系)を改造したもの。客車としての存在感を持つ両形式ですが、連結面の窓配置を見ると、どことなく電車時代の面影が残っています。
いずれの車両も、普段のSL急行には連結されていません。イベント列車や貸切のほか、ごくまれにSL急行でも乗ることができるという、存在だけでなく運用自体も貴重な車両となっています。
もう一つの電車改造客車が、わたらせ渓谷鐵道の「トロッコわたらせ渓谷号」で使用されている、わ99形。両端の2両は12系客車ですが、中間の2両は京王電鉄の5000系(初代)を改造した車両となっています。
5000系改造の2両は、側面を大きく切り開き、ドアも撤去。車内もテーブル席に変更するなど、大きく手が加えられました。妻面の窓配置はそのままなので、やはり電車時代の面影はゼロではないのですが、その見た目でもともとは電車だったとわかる人は、あまり多くないのではないでしょうか。