新交通システム「ユーカリが丘線」を運行する山万は、6月29日に発表した2022年の安全報告書において、新車両による車両更新を検討すると発表しました。
ユーカリが丘線は、千葉県佐倉市のニュータウン「ユーカリが丘」内を走る路線です。この路線の開業当初から現在まで使われている1000形は、客室内に冷房を搭載していない非冷房車。暑い車内で少しでも利用者に快適に過ごしてもらおうと、近年の同社では、駅や車内にうちわを設置し、おしぼりを提供するサービスを、毎年夏に展開しています。
そんな1000形は、1982年から1983年にかけて導入された車両で、既に製造から40年が経過しています。一般的な鉄道であれば、置き換えが検討されてもよい時期で、ユーカリが丘線の車両もいよいよ、と思わせます。
一方で懸念されるのが、ユーカリが丘線の規格。同線では日本車両製造が開発した「VONA」という規格を採用していますが、現在これを使用しているのは山万だけ。1社のみの特別な規格となっているため、車両を製造するにもコストが高くつくことが考えられます。
山万では、ユーカリが丘線を補完するバスも運行しています。場合によっては、鉄道を廃止し、バスに置き換えるのでは……と筆者は考えてしまうのですが、安全報告書には「駅務機器更新の検討」「信号保安設備更新の検討」と、今後も鉄道を運行することを前提としたとも読める記述も。あくまで検討ではありますが、今後もユーカリが丘の新交通システムとしての運行が続くことが期待されます。