山梨県は24日、県内への空港設置に向け、開設可能性を調査する受託者の公募を開始しました。
山梨県には現在、ジェット機が離着陸できる空港はありません。過去にもたびたび検討され、そして見送られてきた空港設置計画が、あらためて浮上したのは2022年のこと。そのカギは、リニア中央新幹線の建設にありました。
時速500キロで走り、東京(品川)~名古屋間を最速約40分で結ぶリニア中央新幹線は、東名間だけでなく、途中駅が設置される神奈川県、山梨県、長野県、岐阜県でも、東京または名古屋との所要時間短縮を実現します。山梨県の空港設置計画は、このリニア中央新幹線との接続を前提としたもの。リニア山梨県駅付近に空港を設置することで、県内のみならず、都心方面が目的地の利用者も取り込む狙いです。
空港の規模については今後の調査で検討されることになりますが、山梨県の長崎幸太郎知事は、2022年の記者会見において、プライベートジェットや48人乗りの小型ジェット機を想定すると発言しています。同等規模の機材は、プロペラ機のATR42や、国内事業者は未導入のERJ 145などが存在。これらを仮想運用機材とすると、滑走路長は1000~1500メートル程度と考えられます。
設置場所についても今後検討されますが、仮に駅南部の台地や西部の釜無川沿いとすれば、空港からリニア山梨県駅まではクルマで10分程度。乗り換えの時間を含めない場合は都心まで30分強でアクセスでき、成田空港と同等以上のアクセス性を実現できます。また、甲斐市に所在する日本航空学園の滑走路(双葉滑空場)も候補の一つと、記者会見での発言がありました。この場所からでも、駅までは約20分の距離となります。
県が補完する相手として挙げる羽田空港は、航空法などで「混雑空港」に指定され、小型機の発着が規制されています。羽田空港を利用できない地方路線やビジネスジェットを受け入れ、リニア中央新幹線を羽田空港に対する東京モノレールや京急線のようなアクセス路線として活用してもらおう、ということです。
空港設置計画は、まだまだ調査の前段階で、実現するかは不透明。ですが、リニア中央新幹線の建設によって、沿線でも大きな変化が生まれようとしています。