総武快速線では、2020年より新型車両(E235系1000番台)の投入が続いています。2023年8月現在の在籍数は、11両連結の基本編成が28本、4両連結の付属編成が26本。基本編成51本、付属編成44本の陣容だった既存のE217系の置き換えも、いよいよ折り返し地点に入りました。
この置き換えのなかで消えていくもののひとつが、普通車のクロスシート。近い将来、E235系への置き換えが完了すると、総武快速線はグリーン車を除き、ロングシートの車両に統一されることになります。
総武快速線は1972年、東京~錦糸町間の開業とともに、運転を開始しました。113系、E217系と続き、いま増備されているE235系は、一般用車両としては3代目にあたります。初代の113系は片側3扉の車両で、基本的な座席配置は、扉間に2組のクロスシートを設置するというものでした。E217系では片側4扉に仕様が変更され、座席も多くがロングシートに変わったものの、基本編成の9~11号車(千葉・成田空港寄りの3両)だけはクロスシートが残りました。そして、E235系では普通車を全車両ロングシート化。勢力を縮めながら約半世紀続いた総武快速線のクロスシートも、いよいよ終焉を迎えることになります。
E235系をオールロングシートとしたのは、混雑への対応が大きな理由とされています。「時代の流れ」と言ってしまえばそれまでですが、クロスシートがないのは少し寂しいな、と、筆者は思うところでもあります。なお、直通先の横須賀線では、乗り入れてくる「湘南新宿ライン」の車両で、今後も普通車のクロスシートを楽しむことができます。
次第に数を減らしているE217系ですが、現状、狙わなければ会えないほどの少数派ではありません。それなりの確率で乗れるいまが、お名残り乗車のよい機会といえるでしょう。クロスシートで総武快速線の旅を楽しみたい方は、ぜひお早めに。