今週(8月21日~27日)1週間の鉄道ニュースの中から、鉄道コム注目の話題をご紹介。まずは、26日に開業した新しい路面電車です。
8月26日、宇都宮市と芳賀町を走る新しい路面電車、「芳賀・宇都宮ライトレール」が開業しました。これまで路面電車が走っていなかった場所での新路線開業は、約75年ぶりということ。当初は各駅停車のみの運転ですが、将来的には快速運転も予定。新時代の路面電車「LRT」としての威力発揮が期待されています。
この路線では、宇都宮市と芳賀町が設備や車両を建設・導入し、宇都宮ライトレールが「宇都宮芳賀ライトレール線」として営業する、「上下分離方式」が採らています。宇都宮市では、マイカー社会による発展の中で分散してしまった市街地を、公共交通機関が基幹軸となって結ぶ「ネットワーク型コンパクトシティ」の実現を目指しています。その核となるのが、今回開業した路線なのです。
宇都宮と同様、市街地が拡散していた富山市でも、2000年代に入ってから、それまでの路面電車のテコ入れに着手。新路線(富山都心線・南北接続線)の整備や、既存路線(富山港線)の路面電車化により、路面電車の利用者増加と、市内の活性化を実現しました。後に続く宇都宮でも、同様の効果が期待されています。
もう一つご紹介するのは、JR西日本が関西圏で提供すると発表した、有料座席サービスについてです。すでにJR京都線・JR神戸線などの「新快速」で「Aシート」を提供している同社。10月23日からは、大和路線やおおさか東線の快速系列車でも、有料指定サービスを提供します。
「快速 うれしート」と名付けられたこのサービスは、平日朝の大阪方面へ向かう大和路線「区間快速」、大和路線・おおさか東線「直通快速」各2本が対象。221系8両編成のうち、最後尾のドア間を専用区画に設定して提供します。Aシートと異なり、座席はそのまま。221系の転換クロスシートとなります。
かつてJR西日本では、関西国際空港のアクセス列車「関空快速」「関空特快ウィング」で、指定席サービスを提供していました。しかしこちらの場合は、対象列車の運転区間が悪かったのか、座席の差別化が無かったからなのか、利用率が低迷した結果廃止されたということ。今回の「うれしート」は、車両未改造による一部指定席サービスという意味では同じです。もちろん、区間も提供時間帯も関空快速とは異なりますが、利用者のニーズを掴み、さらなる展開につなげることはできるのでしょうか。