今週(8月28日~9月3日)1週間の鉄道ニュースの中から、鉄道コム注目の話題をご紹介。まずは瀬戸内エリアの旧型車両のニュースです。
JR西日本は8月30日、山陽本線を走る115系で「瀬戸内色」塗装車両を運転すると発表しました。10月14日から、主に岩国~下関間を走る予定です。
瀬戸内色は、国鉄時代に導入された塗装。広島エリアの車両に施された塗装でした。JR発足後は「広島快速色」や「広島更新色」といった新色が登場した一方、瀬戸内色も残存していたのですが、2009年以降に単色塗りの「地域色」が導入されたことで、他の塗装ともども消滅してしまいました。
同社では、可部線などの105系で2022年に「広島色」を復刻させているほか、特急「やくも」用車両でも順次リバイバル塗装編成を投入しています。ここまでくれば、筆者としては広島快速色や広島更新色も復刻してほしいのですが……いかがでしょうか?
もう一つご紹介するのは、引退済みで保存されていた車両のニュース。今年6月に解体のニュースが流れた小樽市総合博物館の電気機関車ですが、一転して保存されることが決定しました。
この騒動に巻き込まれたのは、ED75形501号機とED76形509号機の、2両の電気機関車です。北海道の電化初期に活躍した車両で、ED75形は「準鉄道記念物」にも指定されています。車両解体の理由は、人体に有害なPCB(ポリ塩化ビフェニル)が、機関車の搭載機器に含まれていることが判明したため。スペースの問題などで、対象機器だけを取り外して処理することが困難なことから、車両を解体する方針が決定した……はずでした。
しかし、8月29日の小樽市議会定例会に提出された、2023年度の小樽市補正予算案では、これらの展示車両から取り出した高濃度PBC機器の処理、および車両の一部を保存する作業費用が増額されました。解体方針から一転、車両が保存されることとなったのです。
小樽市の迫俊哉市長は、8月30日の定例記者会見で、「車両を解体する必要があり、長い間雨風にもさらされていたので、保存には耐えられないのではないかという教育委員会の判断があった」と説明。しかし実際にPCBを取り出す作業を終えたところ、ED75形は「なんとか外郭保存できる」という状態だったということ。報道によれば、ED76形は前面のみの部分保存となるようですが、ともあれ車両全体が破棄される事態は避けられたのです。
迫俊哉市長は、「遺すことはOKだけども、野ざらしにはしないように」と要望したとも説明。また、今回のことを契機に、保存車両の整理や、屋根の設置といった保存方法の見直しを検討したいとも述べました。鉄道車両というモノを維持する上で、手間やコストは欠かせません。今回のできごとは、これを改めて示したといえます。