2023年9月5日、大阪メトロのイベント企画「特別列車で行く!秘密のトンネル体験」のプレスリリースにて、中央線の20系が同年度中に全廃となるという記載が確認できました。20系の寿命は、長くて残り半年程度ということになります。
20系は、1984年に中央線で営業運転を開始した、VVVFインバータ制御車両です。当時、路面電車などではVVVF制御の車両がすでにデビューしていましたが、6両という比較的長い編成を組んだ新造車両として落成したのは、この20系が初めてでした。
1980年前後は、このVVVF制御の導入が各社で模索されていた時期。まさに「VVVFの黎明期」と呼べる頃に生まれた20系は、最初の編成が登場してしばらくの間、様々な試験を繰り返し、その性能を確かめたといいます。車体は御堂筋線用の10系と同じアルミ製で、そのスタイルもよく似ていますが、先頭部のライト類がブラックフェイスの外側に配置された点などに違いが見られます。
最初は中央線のみに投入されていた20系ですが、1989年には谷町線用の車両も登場。以降はこの2路線での運用が続きました。
2006年、中央線と直通する近鉄東大阪線が「けいはんな線」に名前を変えるとともに、生駒~学研奈良登美ヶ丘間の延伸開業を迎えます。これを前に、20系はすべて中央線に集められ、「高速化改造」と呼ばれる更新工事が施されました。近鉄線内のスピードアップに対応すべく、最高速度を引き上げたとともに、VVVF制御装置も新しいものに交換されています。2014年には1本が廃車になったものの、その後も20系は中央線の最多勢力として運用されました。
2021年12月、大阪メトロは万博の開催を見据え、中央線に新型車両を投入すると発表しました。これにより20系の置き換えが明言されたものの、完全な引退時期は明言されていませんでした。それから約2年。前述のプレスリリースで、いよいよ完全引退の時期がハッキリしたといえます。
現在は鉄道車両で当たり前に使われている、VVVFインバータ制御。そのパイオニアとして走り続けてきた20系ですが、40歳という不惑の年を前に、引退を迎えることになります。