お年寄りや、妊婦の方、体が不自由な方などに、席を譲ることを推奨する「優先席」。9月15日で、前身の「シルバーシート」導入から50周年を迎えました。
シルバーシートが導入されたのは、1973年9月15日の「敬老の日」のこと。国鉄の中央線快速電車と、伊豆箱根鉄道の駿豆線・大雄山線に導入されました。当初は名前の通りお年寄りのみを対象としていたのですが、現在では先述した通り、体が不自由な方など、席を必要とするさまざまな人が対象となっています。また、札幌市営地下鉄では、優先席ではなく「専用席」として導入。このほか、かつての阪急電鉄などでは、全席を優先席としていたこともありました。
ところで、シルバーシートの名前の由来は何なのでしょうか。お年寄り=シルバーを対象とした座席だから?いえいえ、実は、お年寄りをシルバーと呼ぶようになったのは、このシルバーシートの名前が由来。電車の座席名称の方が先に登場していたのでした。
シルバーシートという名前になったのは、国鉄がこの座席を導入する際に、他の席と区別するため、銀色の座席モケットを使用したことが理由。このモケットの出所は、東海道新幹線の初代車両である0系。たまたま余っていた新幹線用のモケットを転用したことで、この名前が生まれたのです。
さて、私鉄で初めてシルバーシート=優先席を導入した伊豆箱根鉄道では、導入50周年にあわせ、優先席の啓発活動ステッカーを各車両の優先席付近に掲出するということ。日本では存在を認知されている優先席ですが、あらためて譲り合いの精神を呼びかけ、車内のマナー向上を目指すとしています。