2023年8月に開業した「宇都宮芳賀ライトレール線」。宇都宮駅の東口と芳賀町を結ぶ新たな路面電車です。この新たな路面電車について、宇都宮市の佐藤栄一市長は、9月28日の定例記者会見において、路線愛称を「ライトライン」にすると発表しました。
いやいや、「ライトライン」は前から使われているだろう、という意見はその通り。この愛称は一般市民からの投票を経て、2021年に決められた愛称でした。ただし、対象は「路線」ではなく「車両」。今では「ライトライン」という名前自体は広く知られていますが、正確にはHU300形という車両のみを指すもので、路線名称は「宇都宮芳賀ライトレール線」、路線を整備する事業は「芳賀・宇都宮LRT」、運行事業者は「宇都宮ライトレール」と、複数の名前が存在している状態でした。
しかし、「ライトライン」という名称が車両の愛称である、と広く認識されていたかは怪しく、当初は「(路線の)愛称が『ライトライン』に決定」と報道されたこともありました。開業時点でも、停留場には「ライトラインのりば」と書かれており、「ライトライン」という車両ののりばであると考えれば間違いではないけれど……という状態となっています。
宇都宮市は、車両愛称の決定から2年半ほどが経過し、また開業を迎え、「ライトライン」という愛称の定着度が高くなっているとしています。そして今回、さらに愛着・親しみを持ってもらえるよう、「ライトライン」を路線名称や事業名称へも適用範囲を拡大すると決定。今後さまざまな場面で積極的に活用していくとしました。
宇都宮芳賀ライトレール線こと「ライトライン」は、開業から1か月間で約42万人、当初需要予測の1.4倍の利用者があったといい、好調な滑り出しを見せています。現時点では、自動車との接触事故や、運賃収受に時間が掛かることによる遅延の発生など、課題はまだまだあるといいますが、新線開業時に混乱はつきもの。将来的には快速運転を実施するというライトラインは、まだまだ本領発揮の時期となっていません。デザインコンセプト「雷都を未来へ」の文言通り、未来へ進むライトラインは、今まさに成長している最中です。