近年の鉄道車両では、行先や種別などの表示器にLEDが使われています。かつては3色しか表示できなかったLED表示器は、今やフルカラーが当たり前。色とりどりの種別表示や、さらにはイラストの表示まで可能となっており、かつて主流だった「方向幕」から交換する事業者も多く見られます。
そんなLED表示器を搭載した車両をカメラで撮ってみると……あれ、表示が欠けてしまいます。なぜなのでしょうか。
常に点灯しているように見えるLEDですが、実は高速で点滅しています。これをカメラが捉えてしまうことで、「表示が切れる」状態になってしまうのです。この現象は、シャッタースピードが点滅周期より速い場合に起きるもの。シャッタースピードを遅くすれば、LED表示が写るようになるのです。
鉄道車両などのLED表示器は、点滅周期は製品によってまちまちです。シャッタースピードが1/1000秒でも欠けない車両がある一方、1/80秒でないと綺麗に写すことができない車両も存在します。さらに、同じ形式であっても、編成によって搭載品が異なるのか、耐えられるシャッタースピードが異なるということも……。こればかりは、知識と経験が頼りになります。なお、鉄道コムの一部新車リポート記事では、LED表示が切れるシャッタースピードをご紹介しているので、ぜひご活用ください。
撮影時、ただシャッタースピードを落とすだけでは、表示は切れずに写った一方、肝心の車両がブレてしまうことにもつながります。対処法はいろいろありますが、まずは「流し撮り」。被写体の動きにあわせてカメラを動かす方法です。特に「ズーミング流し」などと呼ばれる、ズームレンズの焦点距離を動かしながら撮影する方法は、難易度は高いものの、上手く決まれば車両の先頭部も表示も綺麗に写すことが可能です。
また、カーブで先頭車が正面を向く構図で撮影すれば、見かけ上の列車のスピードは遅くなります。この場合はシャッタースピードを落として撮影できるため、ストレートな線形での撮影時よりも表示を写しやすくなります。
また、わざわざカメラを出すほどでもない表示の記録の際、スマホで撮影する方も多いかと思いますが、シャッタースピードなどを自動で設定してくれるスマホのカメラでは、表示が上手く写らないこともあります。そんな場合は、露光時間を長くする=シャッタースピードを遅くする「ナイトモード」を使えば解決。また、レンズを複数搭載しているスマホの場合、望遠レンズに切り替えると、F値が大きいため、シャッタースピードが遅くなり、結果的に表示が綺麗に写るということもあるようです。