中央本線の名古屋口を走る211系が、10月6日をもって、定期旅客列車での運用を終了したようです。
211系は、旧国鉄が開発し、1986年に関東での営業運転が始まった車両。JR東海では、国鉄時代に投入された4両編成2本に加え、独自仕様の5000・6000番台を導入し、東海道本線や中央本線などで使用してきました。
その211系は、JR東海管内での営業運転開始から約30年が経過し、2022年3月にデビューした315系によって置き換えが進められていました。
かつての中央本線名古屋口の普通・快速列車では、211系や313系を組み合わせ、4・6・8・10両編成と、さまざまな両数で列車が運転されていました。315系投入と同時期に実施されたダイヤ改正では、このバラバラな編成両数を8両に統一。211系は残存こそしたものの、全て4+4両または3+3+2両(2両のみ313系)の8両編成を常時組む形となりました。
両数さえ揃えられれば、あとは形式が変わっても不都合はありません。315系の運用は決められており、時刻表にも明記されていますが、増備にあわせて、次第に他の運用にも充当されていきます。これによって、ダイヤ改正と関係ないタイミングで315系の新製編成は順次運用入りし、211系も置き換えられていきました。
そして2023年9月下旬、8両編成の315系としては最終増備車になると思われるC23編成が、車両メーカーを出場。10月5日に営業運転を開始し、中央本線名古屋口向けの315系は全て出そろいました。
JR東海の広報担当によると、「中央線の名古屋~中津川間では、2023年度末に全ての普通・快速列車を315系に統一する計画で、211系を順次置き換えている。具体的な運用終了時期については、運用の都合もあるのでお伝えできない」ということ。とはいえ、10月7日以降は全ての普通・快速が315系での運転となっています。仮に315系が故障などの運用離脱で足りなくなった場合、211系がふたたび運用に就く可能性もありますが、ひとまず211系が定期運用を終えたことはほぼ確実のようです。
しかし、引退したはずのオレンジと緑帯の211系が、中央本線の名古屋口を回送で走る姿も目撃されています。これは、関西本線を走る211系が車両基地に入出庫するための運用。関西本線では10月1日、名古屋~亀山間で、211系の運用が「復活」したのです。
先の広報担当によると、この211系の運用は、利用者が増加している関西本線の混雑緩和対策だということ。現在関西本線で主力車両として使われている313系は、すべてクロスシートのため、混雑時の運用に難があります。同線ではロングシート車両の315系が既に投入されており、今後の増備も予定されているようですが、早急な混雑緩和を目的に、211系に白羽の矢が立ったようです。
関西本線では、2022年3月まで、国鉄時代に投入された211系0番台が運用に就いていました。0番台が引退後、しばらくは211系の運用がなかった関西本線ですが、315系増投入までの期間限定とはいえ、これが復活したことになります。