今週(11月6日~12日)一週間の鉄道ニュースの中から、鉄道コム注目の話題をご紹介。この週の前半には、小田急ロマンスカー「VSE」の完全引退日の発表や、東京臨海鉄道の新型車両「71-000形」の導入発表など、車両に関するニュースがいくつか流れました。
「VSE」は、2005年にデビューしたロマンスカー。車齢18年とまだ若い車両なのですが、一部に特殊な機器や構造を採用していることから、大きく手を加える車両更新が難しく、「VSE本来の性能を維持して運行することが困難」(小田急)ということで、引退する流れとなっていました。引退自体は2021年12月に発表されていましたが、2022年3月に定期運転を退いた後は団体臨時列車などで活躍。残りの期間も存分に活用されてきました。
小田急では、引退した後の「VSE」について、「ロマンスカーミュージアム」での展示の検討を進めていくとしています。同館の開館直前に取材した際、車両展示ゾーンの奥には、1両を追加で展示できそうなスペースがありました。取材当時、当たり前ですが「VSE」の引退は発表されていなかったので、小田急の担当者は「(ここに展示する車両は)特に考えていない」という回答をしていたのですが、「HiSE」や「RSE」と並ぶこの位置が、「VSE」の安息の地になるのではと、筆者は勝手な想像をしています。
もう一つ、車両の引退にまつわる話題をご紹介しましょう。6日深夜、京阪電鉄の一般形車両、2600系0番台の11両が、淀車庫から寝屋川車庫へ回送されたと、SNSで目撃情報が上がりました。2600系0番台は、2021年9月のダイヤ改正時から定期運用に就くことなく、淀車庫に留置され続けていました。今回の回送が廃車のためのものであれば、2600系0番台は区分消滅となります。
京阪2600系という形式は、1978年に登場。決して新しい車両ではありませんが、1964年登場の2200系や、1969年登場の2400系が在籍する同社では、それよりも後に製造されたことになっている車両です。しかし2600系0番台は、1959年に登場した2000系の車体を流用して「製造」されたもの。機器類こそ交換されていますが、車体だけ見れば64年前に製造された古豪だったのです。
2000系という車両は、従来車両よりも高い加減速性能を持つことから、「スーパーカー」という愛称が付けられていました。この1960年代に京阪電車の通勤ラッシュを支えた車両も、いよいよお役御免となるようです。
ちなみに、2600系には0番台のほか、機器は0番台と同等で、車体は新製したという30番台が、1981年に製造されています。こちらは名実共に2200系・2400系より新しい車両のため、活躍はまだまだ続くようです。