今週(11月13日~19日)一週間の鉄道ニュースの中から、鉄道コム注目の話題をご紹介。今回は、車両にまつわる話題を2本取り上げます。
JR北海道は15日、新千歳空港へのアクセス列車「エアポート」を、2024年春に日中毎時5本から同6本へと増発すると発表しました。好調なインバウンド需要をうけての増発で、うち毎時1本は「特別快速」、毎時2本は北広島~新千歳空港間で各駅に停車する「区間快速」としての運転となります。
千歳線では、この区間快速の設定にあわせ、これまで札幌方面~千歳・苫小牧間で運転してきた日中毎時2本の普通列車を、札幌側では札幌~北広島間の運転に短縮。千歳側では千歳~苫小牧方面の運転となります。普通列車が走らなくなる北広島~千歳方面の各駅からの需要は、区間快速が担うこととなります。
この変更は、「エアポート」だけを見れば増発となりますが、千歳線全体で見れば一部で減便となる内容です。とすると気になるのが、普通列車用車両の動向。JR北海道では、一番古い一般型電車である721系を置き換えると、将来計画でたびたび発表しており、今年に入ってからは同型式が解体される姿も目撃されています。今回の変更による運用減で、721系にさらなる余剰が発生し、廃車が進むことになるかもしれません。
もう一つの話題は、14日に新型車両「7000系」の導入を発表した伊予鉄道。2025年2月から順次導入し、既存の700系(元京王5000系)を置き換える予定です。中古車両ではない同社の車両としては、1995年に導入した610系以来、約30年ぶりの導入となります。
今回の7000系の前に伊予鉄道が導入した郊外電車用の車両は、2009年デビューの3000系で、元京王3000系の中古車です。京王3000系は伊予鉄道のほか、北陸鉄道や上毛電気鉄道などに譲渡された、中古鉄道車両の人気車の一つ。同じように中古車両として人気のあった形式として、東急1000系や初代7000系、京王5000系、東京メトロ03系などがありました。
これらに共通するのは、JRの在来線車両などより短い、車体長が18メートル級というスペック。大型の車両を使用してこなかった地方私鉄では、18メートル級車両は都合が良く、これらの一部形式が人気車種となっていたのです。
しかし、京王3000系や5000系、東急7000系はすでに全廃され、東急1000系は今のところ余剰車はなし。東京メトロ03系も、すでに残る車両の行く先は決まっている様子。つまり、人気車種は「在庫」がない状況なのです。その中で新車導入を発表した伊予鉄道に対しては、SNS上では驚きの声が多く見られました。とはいえ、伊予鉄道のように(補助金を活用しているとはいえ)新車を導入できる事業者ばかりではなく、中古車に頼らざるを得ない会社は多数。今後も「中古車難」の状況は続きそうです。