中目黒駅で東急東横線と接続する、東京メトロ日比谷線。かつては同線と相互乗り入れを実施していましたが、2013年に廃止。以降、東急線内を走る日比谷線車両の営業列車は見られなくなりました。
が、それから10年が経過した2023年現在でも、東急線を日比谷線の車両が走る姿を、不定期ながら見ることができます。
これは、同線の車両が鷺沼工場を出入りするときに見られるもの。日比谷線の車庫は南千住駅、東武線の竹ノ塚駅付近に設けられていますが、大がかりな検査は鷺沼工場(東急田園都市線の鷺沼駅付近にあります)が担当しています。同工場は東京メトロの路線との接点がなく、必然的に東急線を回送列車で走ることになるのです。
そのルートは、「中目黒~(東横線)~元住吉検車区~(目黒線)~大岡山~(大井町線)~二子玉川~(田園都市線)~鷺沼」。進行方向を変えながら、4つの東急線をまたいで走ります。この区間で日比谷線の車両を見かけたら、なんらかの事情で鷺沼車両基地へ「出張」しているとみて間違いないでしょう。
相互乗り入れの廃止から10年、日比谷線、東横線ともに、運転形態や走る車両はガラリと変わりました。過去の面影は徐々に薄くなっているものの、日比谷線の車両が東急線を走る姿は、いまも不定期で見ることができます。この「出張」は毎日あるわけではないので、もし目にすることができればラッキーです。日比谷線内などでは見慣れた存在ですが、東急線内では「幸運のシルバーな地下鉄電車」と呼べるかもしれません。