鉄道コム

鉄道コらム

「F形」や「PF」ってなに? EF65形電気機関車の「ナゾのアルファベット」の意味とは

2023年12月25日(月) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

国鉄時代に開発されたEF65形は、箱型の直流電気機関車の決定版といえる車両です。後に登場したEF66形ほど特徴的なデザインではありませんが、貨物列車から、往年のブルートレインまで、さまざまな列車の先頭に立ってきました。

そんなEF65形は、「F形」「PF」などと、なにやら暗号めいた呼び方が使われることがあります。

JR東日本のEF65形501号機。この車両は「P形」です
JR東日本のEF65形501号機。この車両は「P形」です

この呼び方は、その車両が対応する装備の有無を現したもの。FはFreight=貨物、PはPassenger=旅客の略で、前者は貨車、後者は客車用の(製造当時としては)特別な装備を持っています。当時最先端だった貨車の10000系、ブルートレイン用客車の20系(後年の改造による)では、従来車以上の高速運転を実現するため、新しい仕組みのブレーキが使われていました。さらに、当時の20系の一部で搭載していたパンタグラフの緊急操作機能や、貨物列車けん引時の重連運転機能といったものもあり、これらの装備を持つことを表すため、この区分が生まれたのです。

F形が装備していた連結器。10000系貨車のけん引に対応するため、密着自動連結器の周囲に空気管を併設していました
F形が装備していた連結器。10000系貨車のけん引に対応するため、密着自動連結器の周囲に空気管を併設していました

この区分が登場したのは、一般仕様の0番台と並行して製造された500番台。まずはP形が登場し、続いてF形が生まれました。さらにその後、EF65形の決定版ともいうべき1000番台が登場。こちらはP形とF形の双方の機能を持つものとして、PF形と呼ばれました。なお、F形はP形の機能を全てもつ上位互換機種で、実際にはF形でもブルートレインのけん引は可能でした。

EF65形のほか、ED75形などでも、一部の車両のみがけん引対応装備を持つことによる区分がありました。一方で、EF81形0番台のように、最初から全車がこれら装備を搭載して製造された形式もあります。さらに、14系や24系、コキ50000系といった後継形式では、機関車が特殊装備を持たなくとも、けん引される側の性能をフルに発揮できるよう、配慮された設計となっていました。

1965年(PF形は1969年)にデビューしたEF65形は、2023年現在、JR貨物、JR東日本、JR西日本の3社に在籍しています。旅客会社の車両は、すでに定期運用を持っておらず、臨時列車や配給列車などで細々と走るのみ。JR貨物の車両は貨物列車のけん引でまだまだ活躍していますが、近年は置き換えが進められています。12月には「更新色」が消滅し、デビュー時の青・クリーム2色塗装となった車両が残るのみとなりました。

貨物列車をけん引するPF形
貨物列車をけん引するPF形

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

関連鉄道リポート

鉄道コムおすすめ情報

画像

ラストランは2月10日

「青胴車」5001形は2月10日にラストラン。引退前の「乗車会」開催や、引退記念グッズ発売も。

画像

「T4編成」展示へ

1月で引退の「ドクターイエロー」T4編成、先頭車がリニア・鉄道館で保存へ。6月に展示開始予定。

画像

幻の東京圏「改良計画」とは?

1950年代の国鉄は、東京圏を今と違った形に改良する計画を持っていました。その中身とは?

画像

「サステナ車両」5月デビュー

元小田急の西武8000系が、車両基地を出場。デビューは2024年度末から2025年5月末に変更。

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、標準~望遠・超望遠レンズ編です。

画像

1月の鉄道イベント一覧

2025年も鉄道コムをよろしくお願いします。1月の計画立案には、イベント情報をどうぞ。

画像

イベント投稿写真募集中!

鉄道コムでは、臨時列車や基地公開など、さまざまなイベントの投稿写真を募集中! 投稿写真一覧はこちら。