物流博物館では、2024年1月21日(日)まで、鉄道貨物輸送150周年記念として、特別展「汐留駅にみる貨物鉄道と通運のあゆみ」を開催しています。
汐留駅は鉄道の発祥地である新橋駅として誕生し、大正3年(1914)に旅客扱いを分離して貨物駅となって以降、戦後には東京で一番の貨物取扱量を誇り、首都の物流はもとより、日本各地の物流にとって重要な役割を果たしてきました。しかし、昭和61年(1986)に廃止されてからすでに37年が経過し、跡地は再開発され高層ビルの林立する汐留シオサイトに姿を変えた今日、当時の実際のようすを知ることはなかなかむずかしくなっています。
そこで、今回の展示では、新橋駅時代も含め、汐留駅がたどった114年の足跡を振り返り、大都市の中心部に位置した物流ターミナルがどのように時代に向き合ってきたのか、貨物鉄道とともに、その開業当初から共に歩んできた通運事業(鉄道の利用運送事業)の視点も含めて紹介することを企図しました。
汐留駅は、長い歴史の中で都合4回ほど変貌を遂げています。いずれも、産業の発達と社会の変化に伴う貨物量の増大や通運の交通手段の移り変わりに対応したものでした。とくに高度経済成長期に行われた大規模改良工事は、年々増加する貨物量を見据えて年間取扱量380万トンを目ざしたもので、構内面積も約32万平方メートル(東京ドーム7個分)に拡張、汐留駅の様相は一変しました。大規模な混載ホームのほか、宅配便のない時代に個人の輸送需要を支えた手小荷物の巨大なセンターを建設。ここには自動仕分け機など最新の設備が整えられ、地下トンネルで結ばれた東海道線山側の積み出し施設との間には自動搬送台車が行き来していました。
廃止の数年前には、一大貨物駅と高層の商業ビルが共存し、第2新幹線、モノレールなどが乗り入れる開発プランが国鉄部内で提示されたこともありました。もとより実現可能性のない案だったかもしれませんが、当時はそんな未来もあり得たということになります。
汐留駅の展示に合わせて、第2会場では東京の代表的な10か所の貨物取扱駅の展示も行っています。会場では汐留駅の登場する映像も常時上映し、会期中には映画の上映会や講演会も開催しています。なお、第2会場は催事の開催などのためご覧いただけない場合もありますので、詳細は物流博物館までお問い合わせください。
物流の「2024年問題」が課題の今、日本の物流は大きな岐路に差しかかっているといえます。展示を通して150年の貨物鉄道と通運の歴史を振り返ることは、将来の物流や貨物鉄道のあり方について考えるきっかけの一つになるかもしれません。みなさまのご来場をお待ちしています。