今週(12月4日~10日)一週間の鉄道ニュースから、鉄道コム注目の話題をご紹介。まずは、本日惜しまれつつも引退した、「白いロマンスカー」、50000形「VSE」の話題です。
2005年のデビューから18年と、まだまだ若い車両のVSEですが、今後も使用を継続するには、車体に大きく手を加える工事が必要でした。しかし、アルミ車体や車体傾斜装置つき台車など、そのような工事を受けるには、VSEは不向きでした。小田急では、「VSE本来の性能を維持して運行することが困難」として、VSEを引退させる運びとなったのです。2022年に定期運用を終了したVSEは、以降も団体臨時列車で使われてきましたが、それも本日が最後の運用となりました。
一時は廃れていたロマンスカーの伝統「展望席」(および技術的には連接台車も)を復活させたVSEは、当時落ち込みつつあった箱根への観光需要を取り戻すこと、そしてロマンスカーというブランドの力を高めることが使命でした。惜しまれつつも引退するVSEですが、その役目は無事に果たせたのではないでしょうか。
もう一つの話題は、少し地味な電気機関車のニュースです。国鉄時代に製造された直流電気機関車「EF65形」のうち、JR貨物が車両更新時に施した塗装、いわゆる「更新色」の2両を含む車両が、12月4日に大宮車両所へ回送されました。廃車回送と見られ、これによりEF65形の更新色は全滅となります。
EF65形の更新色は、未更新の車両と区別するために施されたもので、すでに30年近い歴史があります。しかし、JR貨物が持つEF65形の全稼働車で更新工事が終わると、区別の必要がなくなったため、国鉄色に再度戻される車両が増えてきました。塗装変更は大規模な検査のタイミングで実施するのですが、すでに同形式の大規模検査は終了。塗装が変更されなかった車両から順番に検査期限を迎えることから、このように更新色が先に消滅することとなりました。
更新色が消滅したとはいえ、JR貨物のEF65形は、現在も複数の定期運用を持ち、中には東海道本線の貨物列車をけん引するものもあります。とはいえ、完全引退までのカウントダウンは始まっており、国鉄色のEF65形が貨物列車をけん引する姿が見られなくなるのも、そう遠いことではありません。