全国46都道府県に路線を持つJR。その路線網は、本線と本線から分かれる支線などからなり、路線の起点・終点にあたる駅は少なくとも片方はJRの別の路線と接続しているのが基本です。
一方が他の路線と接続する駅、もう一方が他路線との接続がない単独の駅を持つ線は少なくありません。ただし、JRの路線の中には、両端ともに他社線を含めて接続する路線がないものがあります。JR九州の香椎線です。
福岡市沿海部の西戸崎駅から、宇美町の中心部にある宇美駅までの約25キロを結ぶ香椎線。路線名にある香椎駅で鹿児島本線、香椎~宇美間の途中にある長者原駅で福北ゆたか線との乗り換えができますが、他にJR線との接続はなく、鉄道利用のみの場合、両端まで行ったらいずれも引き返すしかない路線ということになります。
国鉄勝田線が現役の頃は、同線にも宇美駅があり、100メートル歩けば香椎線との乗り換えが可能だったため、当時の香椎線は片方のみが単独駅という路線でした。1985年に勝田線が廃止されて以降、今の形態になった経緯があります。香椎線は、鉄道の接続がない両端の駅を1本の列車で行けるという点でも希少。ただし、西戸崎~宇美間を直通する列車は朝時間帯に限られるので、事前に時刻を調べておくことをおすすめします。
在来線では、本線系統の一部が第三セクターに移行したことで、他社線との接続はあってもJRの路線としては独立する形になったものもいくつかあります。大湊線と七尾線がその例。また、2024年3月16日に北陸本線の大聖寺~敦賀間がハピラインふくい線に転換されると、越美北線(越前花堂~九頭竜湖間)がこの例に加わることになります。
JR線や他社線との接続がない駅を起点や終点に持つ路線の数々。難度が高いものもありますが、鉄道を「完乗」するうえでは外せません。ダイヤ改正等での変化を踏まえつつ、こうした路線にスポットをあてた旅に出るのもいいと思います。