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特急「つがる」用車両は「悲運の車両」だった? 夢叶わず、若いのに一部廃車も

2024年3月15日(金) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

秋田~青森間を走る特急「つがる」では、E751系が専用車両として使われています。今は日本海側の奥羽本線で走るE751系ですが、デビュー当時は太平洋側、東北本線を走る特急列車で使われていました。

特急「つがる」で使われるE751系
特急「つがる」で使われるE751系

E751系は、2000年3月のダイヤ改正でデビューしました。東北新幹線が盛岡駅止まりだった当時、盛岡~青森~函館間では、新幹線と接続する特急「はつかり」が、485系によって運転されていました。E751系は、この485系を一部置き換えるために投入された車両。当時は常磐線の特急「フレッシュひたち」で使用されていたE653系をベースに、6両編成の交流専用車として開発されました。

E751系のベースとなったE653系。写真は「フレッシュひたち」で使われていた当時のもの
E751系のベースとなったE653系。写真は「フレッシュひたち」で使われていた当時のもの

時速130キロでの営業運転に対応したE751系は、485系の「はつかり」より速達タイプの「スーパーはつかり」で運用されました。この列車は青函トンネルを渡ることはなく、盛岡~青森間のみの運転というもの。しかし、E751系自体は青函トンネルの通過を考慮した設計で、設計最高速度は青函トンネル走行用に時速140キロとしたほか、青函トンネル用の保安装置も後日改造で対応できるようになっていました。

しかしながら、2002年に東北新幹線が盛岡~八戸間で延伸し、青函連絡特急が「白鳥」「スーパー白鳥」に生まれ変わった際、E751系は「白鳥」ではなく「つがる」の専用車になりました。当時の「つがる」は八戸~青森・弘前間の特急列車で、現在の列車とは別物(当時の「かもしか」が現在の「つがる」に相当)です。いずれにせよ、青函トンネルを通って函館へ向かう列車への充当は叶いませんでした。

かつての特急「スーパー白鳥」。JR北海道の789系で運転されていました
かつての特急「スーパー白鳥」。JR北海道の789系で運転されていました

そして、2010年に東北新幹線が新青森駅まで延伸した際、「つがる」は八戸~弘前間の列車から、それまでの「かもしか」および「いなほ」の一部区間を引き継いだ、秋田~青森間の列車に生まれ変わります。E751系もタイムラグはありつつ引き続き「つがる」専用車として使われた……のですが、この際に編成を6両から4両へ短縮。余剰となった中間車は、後に廃車されてしまいました。

当初は青函トンネルの通過を夢見たE751系ですが、製造は3本のみで、函館行き特急への充当はかなわず、さらに中間車計6両は余剰のため廃車されてしまいました。まさに「悲運の特急車両」です。そんなE751系が使われる「つがる」では、2024年3月のダイヤ改正で、上下1往復が速達タイプとなり、列車名を「スーパーつがる」に改めることになりました。路線は異なりますが、かつての「スーパーはつかり」をほうふつとさせる列車名が、同じE751系に与えられることになります。

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