新幹線と在来線特急などを乗り継ぐ際、在来線側の特急料金を割り引く「乗継割引」。国鉄時代から引き継がれてきた料金制度ですが、2024年3月16日のダイヤ改正にあわせて、取り扱いが終了となります。
一方、同日に金沢~敦賀間が延伸開業する北陸新幹線では、敦賀駅で新幹線と在来線特急を乗り継いだ際に、特急料金の割引が適用されます。乗継割引は廃止のはずではなかったのでしょうか?
鉄道会社の運賃・料金制度は、「旅客営業規則」に定められています。今回廃止となる乗継割引は、JRグループの旅客営業規則のうち、第57条の2で「乗継急行券の発売」として規定されたものです。
一方、北陸新幹線の敦賀駅で適用される割引は、第57条の3 第8項、「北陸新幹線富山・越前たけふ間の新幹線停車駅と、新幹線以外の線区の特別急行列車の停車駅との相互間を、次の各号の1に該当する列車(注:「サンダーバード」「しらさぎ」など)に乗車し敦賀駅で出場しないで乗継ぎをする場合は、新幹線と新幹線以外の線区とを通じた全区間(第57条第2項第1号の規定(注:改札を出場せずに同方向の新幹線を乗り継ぐ場合、特急券は1枚で発券するという規定)により2個以上の特別急行列車を乗り継ぐ場合を含む。)に対して特定の特別急行料金によって指定席特急券、立席特急券又は自由席特急券を発売する」という条文に則って設定されているものです。
つまり、今回廃止となる乗継割引と、敦賀駅で新規設定される割引は、別の制度によるものというわけです。実際、今回廃止される乗継割引では、在来線特急料金は半額となっていましたが、敦賀駅での割引は1割程度に抑えられています。
敦賀駅で適用される制度は、通称「幹特在特」というもの。部分開業時代の九州新幹線や、2022年に開業した西九州新幹線で、リレー特急と新幹線を乗り継ぐ際に適用されてきました。もともとは在来線特急1本で通し乗車できた区間が、新幹線開業によって乗り継ぎが必要になってしまったため、不便さを抑えるために設定された制度です。
これまでの乗継割引も、もともとは「幹特在特」同様、新幹線開業によって運転区間が分割された在来線特急・急行との乗り継ぎに配慮して設定された制度でした。しかしながらJR各社は、近年はネット予約サービスの普及で利用が減っていたことで、廃止を決めたとしています。