国鉄→JRの鉄道路線のうち、そのエリアの中核となる路線は、東海道本線や東北本線、函館本線、鹿児島本線のように、「〇〇本線」という名前が(JR四国を除き)つけられています。
本線を名乗るのであれば、さぞかし広大な路線なのかと思いきや、中には一部区間の廃止によって「ミニ本線」となってしまった路線もあります。短い本線のうち、上位3路線をご紹介しましょう。
名乗る地域名はわずか2駅のみの本線
国が整備計画を定めた「整備新幹線」では、JRが新幹線と在来線の双方を運行することで生じる経営負担の増加を回避するため、新幹線開業時にあわせて並行在来線の経営をJRから第三セクターに移管することが認められています。その結果、これまでに江差線の五稜郭~木古内間、東北本線の盛岡~青森間、信越本線の軽井沢~篠ノ井間・長野~直江津間(横川~軽井沢間は廃止)、北陸本線の直江津~敦賀間、鹿児島本線の八代~川内間が、JRから第三セクターの路線へと生まれ変わってきました。
そうした新幹線開業による路線再編の結果、最も大きな影響を受けたのが、北陸本線。かつては直江津~米原間353.8キロだった同線ですが、北陸新幹線の延伸による2段階の経営分離を経て、現在は45.9キロの「ミニ本線」となってしまいました。路線名に「北陸」と入っている同線ですが、路線が短くなってしまった結果、北陸地方に含まれている駅は、敦賀駅と新疋田駅の2駅のみとなっています。
とはいえ、現在の姿となった後も、北陸本線では新幹線と接続する特急列車が多く通っています。本線の名に恥じない存在感は、路線短縮前と同じです。
通らない地域の名前を名乗るミニ本線
かつては苫小牧~様似間146.5キロを結んでいた日高本線。しかし、2015年の高波被害および翌年の台風被害によって一部区間が被災し、折からのJR北海道の経営問題も相まって、鵡川~様似間は2021年、不通状態のまま廃止されてしまいました。
現在も列車が運行されている苫小牧~鵡川間の営業キロは30.5キロ。2024年現在はJRの「本線」で2番目に短い路線です。加えて、路線名に「日高」と入っている同線ですが、起点の苫小牧駅、終点の鵡川駅とも胆振総合振興局管内にあり、日高振興局管内は通っていません。
全線廃止も計画されている「最短の本線」
留萌本線は、かつては深川~増毛間66.8キロを結んでいた路線でした。しかし、利用客の減少やJR北海道の経営問題などを理由に、段階的な廃止が進められており、留萌~増毛間は2016年、石狩沼田~留萌は2023年に廃止されてしまいました。
2024年現在も留萌本線として残るのは、深川~石狩沼田間のたった14.4キロ。JRで「本線」とつく路線では、最も短い路線となっています。この区間も2026年3月末の廃止が決定しており、同区間の廃止後は、最短の「本線」の座は日高本線に移ることになります。
路線名 | 主たる旅客営業区間 | 営業キロ数 | 備考 |
---|---|---|---|
留萌本線 | 深川~石狩沼田間 | 14.4キロ | |
日高本線 | 苫小牧~鵡川間 | 30.5キロ | |
北陸本線 | 敦賀~米原間 | 45.9キロ | |
筑豊本線 | 若松~原田間 | 66.1キロ | |
久大本線 | 久留米~大分間 | 141.5キロ | |
総武本線 | 東京・御茶ノ水~銚子間 | 145.4キロ | 御茶ノ水支線、貨物線2線含む |
豊肥本線 | 熊本~大分間 | 148.0キロ | |
長崎本線 | 鳥栖~長崎間 | 148.8キロ | 長与支線含む |
釧網本線 | 東釧路~網走間 | 166.2キロ | |
関西本線 | 名古屋~JR難波間 | 179.6キロ | 貨物線2線含む |
信越本線 | 高崎~横川間・篠ノ井~長野間・直江津~新潟間 | 181.5キロ | 貨物線2線含む |
【8月15日追記:本文表記を一部修正しました。】