鉄道コム

鉄道コらム

幻に終わった「青胴車」の「転属計画」 阪神5001形に、武庫川線を走る世界線があったかも?

2024年1月13日(土) 鉄道コムスタッフ 井上拓己

阪神武庫川線の終着駅、武庫川団地前駅。同駅の周辺に広がる団地の敷地には、かつて武庫川線を走った車両が保存されています。さらに2024年1月時点では、駅から保存車両までの道が「阪神電車メモリアルルート」として整備中。その道中には、引退した車両の車輪や、役目を終えた踏切の遮断機、改札機などが置かれるようです。保存されている車輪は、5001形5022号車に使われていたもの。そして、その解説文には、実現せずに終わった阪神電車の計画が記載されていました。

それは、「5001形を武庫川線に転属させる」というもの。

武庫川線への転属計画があった?阪神5001形
武庫川線への転属計画があった?阪神5001形

5001形は、1977年に登場した各駅停車用の車両。上半身をクリーム色、下半身をマリンブルーのツートンとした、いわゆる「青胴車」のスタイルを、現在も維持する唯一の存在です。現在は新型車両との交代が進み、近い将来の引退へと確実に歩みを進めています。ちなみに、「5001形」という形式は1958年にも登場しており、この番号を名乗る形式は、これが2代目です。

武庫川線は、2020年6月上旬まで、1960~70年代に製造された車両が運用されていました。これらの置き換えに、5001形の充当が検討されていたようです。しかし、前述のとおり、5001形の登場は1977年。同年代の車両で置き換える意味が薄いと判断されたのでしょうか。結局、実際に武庫川線へ転じたのは、1995年に製造された各駅停車用の5500系。5001形の「武庫川線転属計画」は、幻に終わりました。

旧型車両に代わって武庫川線に導入された5500系
旧型車両に代わって武庫川線に導入された5500系

5001形は現在も本線での運用を続けていますが、ここ数年ですっかり数を減らし、その姿を見る機会も少なくなりました。武庫川線という「新たな居住先候補」を失ったいま、彼らに残された道は廃車のみ。そして、その道の果てにたどり着く日も、そう遠くはないようです。時代の流れで仕方ないことではありますが、少しでも道が長く続いてくれればと、青胴車を長年見てきた筆者は思ってしまいます。

 

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

鉄道コムおすすめ情報

画像

登場時デザイン撮影会で

京急600形30周年にあわせた撮影会が12月に開催。600形デビュー時デザインが撮影会限定で復活。

画像

東武の車両「記録推奨度」

この車両、いつまで走る? 引退が危ぶまれる車両や、見た目が変わりそうな車両をご紹介。今回は東武編です。

画像

4000系が「機関車風」塗装に

「西武秩父線開通55周年記念車両」11日運転開始。4000系をE851形を模した塗装に変更。

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、高倍率ズーム・広角レンズ編です。

画像

京都鉄博に381系

12月12日~17日に特別展示。16日までは、一部で「スーパーくろしお」色ラッピングも実施。

画像

11月の鉄道イベント一覧

数百件の情報を掲載中。鉄道旅行や撮影の計画には、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。