都心方面と成田空港を結ぶ特急「成田エクスプレス」(N'EX)では、E259系が専用車両として使われています。この形式では、2023年4月、新しい塗装に変更された編成が登場。従来のイメージを残しつつ、前面に大きく描いた「N'EX」のロゴが形式を表す「SERIES E259」となり、「N'EX」ロゴは先頭車の側面のみに描かれるなどの変化が生まれています。
そんな新塗装となったE259系ですが、2023年12月ごろから、先頭車側面の「N'EX」のロゴが消えた編成が出現しているようです。何があったのでしょうか。
JR東日本は、2024年3月のダイヤ改正で、東京~銚子間の特急「しおさい」にE259系を投入する予定。「成田エクスプレス」と「しおさい」が共通の車両を使用することになります。同社の広報担当部署に質問すると、「N'EX」ロゴの消滅は、この「しおさい」投入が理由とのこと。「銚子へ向かう特急列車に飛行機のマークが描かれていると、お客様が間違えて乗車してしまうおそれがある」(広報担当者)とのことから、現在「N'EX」のロゴを順次撤去していると説明しました。
また、座席のヘッドレストカバーにも、これまで「N'EX」のロゴが描かれていましたが、こちらも車体の新塗装と同じ「SERIES E259」のロゴ入りのものが用意されているよう。特徴的な飛行機のマークなどは、ダイヤ改正以降も行先表示器などで見られるようですが、これまで車体で大きく主張してきたブランドロゴは、今後は少し控えめになってしまいます。
E259系の塗装変更が発表されたのは、2023年3月のことでした。新塗装は、従来のイメージを引き継ぎつつ、「N'EX」よりも「SERIES E259」のロゴを全面に押し出したデザイン。この時点では「しおさい」への投入は発表されていませんでしたが、今考えると、「成田エクスプレス」以外への投入を見越した変更だったのでしょう。
新塗装のデザインコンセプトは、「新生E259系としての進化」。同形式が使われる「成田エクスプレス」自体、近年は空港輸送だけでなく、東京~千葉間などの地域間輸送にも注力しており、3月のダイヤ改正では料金体系を一部で他の房総特急とそろえる変更も予定と、列車の立ち位置が変わりつつあります。1991年の「成田エクスプレス」運転開始から車体に描かれていた「N'EX」ロゴは車体デザインから消えてしまいますが、ダイヤ改正による運用区間拡大などで、E259系は新たな局面を迎えることになります。