東京(品川)~横浜間の旅客輸送で、とくに強いライバル関係にある京急線とJR線。横浜駅や京急線の神奈川駅付近、京急川崎~六郷土手間にある多摩川の鉄橋などでは、両社の列車が競い合うように走る姿が見られます。また、逗子市、横須賀市内には、京急線がJR横須賀線の線路をオーバークロスする場所があるなど、京急とJRが共演する場所は複数見られます。
列車が動いているという関係上、両社の共演を見られるチャンスは当然ながら限られてきます。が、その共演シーンをカンタンに見られる場所があります。もっとも、京急の車両は動くことのない「保存車両」なのですが。
その場所は、逗子市にある第一運動公園。ここに保存されている600形601号車が、JRとの共演シーンがカンタンに見られる京急車両です。ちなみに、この600形、2024年現在で京急線を走る「600形」ではありません。保存されている車両は、1956年に700形として製造され、のちに形式名を変えたものです。京急で「600形」を名乗る車両は、この保存車両が2代目となります。
話が少しそれました。この601号車が置かれているのは、公園の南東の端。この場所は横須賀線の線路沿いであり、同線の列車が601号車のすぐ横を駆け抜ける光景が見られます。木々に阻まれやすく、少し難しいですが、601号車と横須賀線列車の顔合わせの瞬間を撮影することも可能です。
京浜間では激しい競争を繰り広げる京急とJRですが、こちらの共演はどこか穏やかな印象。601号車は車内に入ることもでき(日中の時間帯のみ)、そこから横須賀線の列車を眺めることもできます。この600形の現役時代を知る人は、懐かしの思い出に浸れ、お子さんは京急とJRを一度に満喫。いろいろな人が、「鉄分」の濃い時間を過ごせることでしょう。
公園の最寄り駅は横須賀線の東逗子駅と京急線の神武寺駅で、601号車までは両駅とも同じくらいの距離。列車本数は神武寺駅の方が多く、保存場所への道は東逗子駅の方がわかりやすくなっています。
ところで、保存されているこの2代目600形、いまも一部の車両が、関東から遠く離れた地で走り続けています。そのことについては、機会をあらためてお話ししたいと思います。