箱根登山鉄道の最古参車両である、モハ1形(100形)の104・106号車編成。2023年11月からの検査を終え、2024年1月中旬、運用に復帰しました。同編成のうち106号車は復刻塗装をまとっていましたが、今回の検査で標準塗装に戻されました。なお、塗り替えられた106号車は尾灯の部分も塗装されている一方、104号車はそれが省略されており、正面のスタイルは両車で微妙に異なっています。
同編成がモハ2形108号車と連結すれば、「標準色で統一された100形3両編成」を見ることができますが、この姿は約4年半ぶりの復活となります。
100形の復刻塗装は、2019年、「箱根湯本-強羅間開業100周年キャンペーン」に合わせて実施されたもの。その内容は、以下2パターンでした。
- 109号車:会社創立時(昭和初期)の塗装(緑1色・2019年4月塗装変更)
- 106号車:1949年~57年頃の標準塗装(青と黄色のツートン・2019年6月塗装変更)
前述のとおり、106号車の相方である104号車は標準色のままだったため、同じ編成のなかで車体の色が違うという、特異な形態に。これと109号車が連結すると、「標準色(オレンジ)-青-緑」の3両編成という、編成を組むすべての車両の色が異なる「3色団子」となっていました。
2019年7月、標準色を維持していた103・107号車の編成(2両連結)が引退。これにより、標準色の車両だけで編成を組む機会がなくなりました。なお、108号車は色合いこそ標準色と同じだったものの、この時点では先頭部が「金太郎」と呼ばれる特殊な塗り分けになっていました(2020年5月、一般的なスタイルに変更)。
さらに、109号車が2021年3月に引退。以降、100形は残された104・106・108号車で、復刻塗装の106号車を標準色車両で挟んだ「青サンド編成」を組むことが多くなりました。
100周年キャンペーンの終焉で、100形にもようやく「本来の姿」が戻ってきたといえます。104・106号車は1950年製造で、今年で御年74歳。さすがに先行きが心配される年齢ではありますが、検査を無事クリアし、箱根の山を走る日々はまだまだ続きそうです。
ちなみに、100形の運用は他の車両と共通で、走る時間は日によって異なります。が、とくに箱根湯本駅では、列車の到着時、100形が来るかを判断する指標があります。それは、ホームに多数の係員が出てくるかどうか。100形は出入口付近に段差があるため、その到着時、すべての出入口に係員を配置して注意を呼びかけるのです。同駅で100形を待つ場合、係員の動きをよく見ておくとよいでしょう。