JR東日本の千葉支社では、自転車を列車にそのまま持ち込める「サイクルトレイン」用の車両、「B.B.BASE」を運用しています。そんな車両がこの冬、車内で日本酒を提供する「BOSO地酒バルトレイン」として運用されていました。筆者が乗車した、そんな列車の旅をご紹介しましょう。
今回乗車したのは、外房線を走る「BOSO地酒バルトレイン外房」。茂原~安房鴨川間の運転です。茂原発、安房鴨川発がそれぞれ1日1回ずつの開催で、筆者が乗車したのは茂原発。およそ3時間の旅路でした。
すでにホームに停まっていたB.B.BASEに乗り込むと、すでに座席には人数分の弁当が用意されていました。地元の道の駅が製造した弁当とのことで、アジやクジラのフライなど、房総の食材が存分に詰め込まれています。
そして列車が発車すると、いよいよ日本酒の配布がスタート。今回は3つの酒蔵から4種ずつの日本酒が試飲できました。4つ分のカップを差し込めるトレーに、すでに日本酒を注いだ状態で参加者に配られ、車内での合理的な提供方法が確立されているようです。また、それぞれのお酒の解説が記載された紙も配布されており、銘柄を確かめながら楽しめるようになっています。
さらに、4号車のフリースペースでは、酒樽から升へ日本酒を注いでくれるサービスも。こちらも試飲できるお酒に数えられており、升も持ち変えることができました。
と、13杯もの日本酒を楽しんでいると、列車はあっという間に終点の安房鴨川駅へ到着。短すぎず長すぎず、愉快な列車の旅でした。
先述したように、B.B.BASEのメインはサイクルトレイン。ですが、暑い夏や日が短い冬はサイクリングに向かないようで、サイクリスト向きの列車はあまり運転されていません。そこで、手が空いていたこの編成を活用する、今回のような列車の運転が生まれたということのようです。
このB.B.BASEによる地酒トレインは、今回が3回目の開催。筆者は2回目の開催時にも乗車したのですが、その際は乗車時間が2時間と、少し短めでした。今回はこれが改善されており、弁当などの日本酒以外の要素もグレードアップ。参加費も上がりましたが、お値段以上の価値があったという印象です。
車内でビールを提供する「ビール列車」は、以前から数多くの路線で運転されています。また、今回のような日本酒を楽しめる車両、近年はJR東日本の「越乃Shu*Kura」(新潟県)を始め、さまざまな路線で定期的に、または不定期に運転されています。とはいえ、日本酒は酒蔵ごとに味わいが異なります。そのため、同じようなコンセプトであっても、列車ごとの違いが楽しめるのです。
BOSO地酒バルトレインは、2023年度冬のシーズンは2月4日で終了ですが、すでに満席となっているよう。次回以降の開催が期待されます。