鉄道車両は、みな役割を持って製造されており、通勤電車であれば比較的近距離の旅客輸送、貨車であれば貨物輸送と、それぞれの仕事があります。とはいえ、中には例外もあり、もとは普通列車用車両として製造されながら、現在は特急用車両として活躍するものもあります。
国鉄の代表的な気動車「キハ40系」が特急仕様に
国鉄時代に導入された一般用ディーゼルカーのキハ40系。全国で活躍したこの形式も、JR発足後は置き換えが進んでいるのですが、余剰車の中には観光列車用に生まれ変わったものも。さらに一部は、特急列車で活躍する車両となっています。
キハ40系を最も多く特急列車に使用しているのは、JR九州。2024年現在でも、「ふたつ星4047」「かわせみ やませみ」「指宿のたまて箱」「かんぱち・いちろく」の4つがあり、かつては「はやとの風」「いさぶろう・しんぺい」といったものも存在しました。
また、七尾線などを走るJR西日本の「花嫁のれん」も、キハ40系の改造車を使用する特急。JR西日本では、キハ40系を改造した観光列車の大部分を快速として運転していますが、この列車だけは種別が異なります。
「新快速」用だった車両から生まれ変わった「WEST EXPRESS 銀河」
JR西日本による「新たな夜行列車」用として改造された「WEST EXPRESS 銀河」。昼行または夜行列車として、西日本各地で運転されています。車内にはベッドのようになる座席や個室が設けられていますが、その改造元は「新快速」用に開発された117系です。
ちなみに、関東の特急「踊り子」などで活躍した185系は、117系とは兄弟車という間柄。この改造によって、ある意味では兄弟の立ち位置が並んだとも言えそうです。
今はピンチヒッターにも 東武「スカイツリートレイン」
東武鉄道の634型「スカイツリートレイン」は、かつて浅草と日光・鬼怒川・会津方面を結ぶ快速列車などで使われていた6050型を改造したもの。現在は定期運用を持っていませんが、ときどき臨時特急列車に使われています。
なお、634型は、改造元の6050型を使う野岩鉄道で車両が不足した際、同社線の「ピンチヒッター」として登板することも。この際は普通列車での運用なので、当たり前ですが特急券は不要です。
通勤電車がバーつき観光特急に変身! 近鉄「青の交響曲」
「しまかぜ」「あをによし」など、さまざまな観光列車を走らせている近畿日本鉄道。同社が南大阪線・吉野線で運転しているのが、「青の交響曲(シンフォニー)」です。
青基調の外観で、車内にはバーカウンターもある観光特急ですが、種車は6200系。元々は、南大阪線系統の通勤電車で活躍していた車両でした。
高野山の風を感じる観光特急 南海「天空」
南海電気鉄道の高野線では、橋本~極楽橋間で観光特急「天空」が運転されています。車両は、2200系「ズームカー」を改造したもの。一部では、扉を開けたまま走ることができ(もちろん柵つきです)、高野山の風を感じながら乗車できる列車となっています。