本州と北海道を結ぶ海底トンネル「青函トンネル」は、現在は北海道新幹線が通る重要ルートです。JR北海道と国土交通省は1月19日、2024年のゴールデンウィーク期間において、青函トンネルで時速260キロ運転を実施すると発表。期間中は、東京~新函館北斗間が最短3時間52分で結ばれることとなりました。
北海道新幹線は、青函トンネル前後以外の区間では、最高時速260キロで運転されています。一方で、青函トンネル内では時速160キロ、その前後区間は時速140キロが最高速度です。なぜスピードを落としているのかというと、この区間は貨物列車も走行しているため。時速200キロ超で走る新幹線と貨物列車がすれ違った場合、風圧でコンテナがダメージを受けるおそれがあるため、新幹線は減速を余儀なくされているのです。
青函トンネルは、当初から新幹線が通れる設計で作られていましたが、1988年の開業当時は在来線のみの運行となっていました。2016年に北海道新幹線が開業した際、在来線の旅客列車はツアー列車を除き廃止されましたが、新幹線に代替できない貨物列車は残存。2024年現在、新幹線と在来線が同じ空間を共有する唯一の路線(ミニ新幹線を除く)として運行されています。
ただし、ゴールデンウィークやお盆、年末年始といった繁忙期では、旅客需要は増える一方、貨物需要は減少し、一部の貨物列車は運休となります。そこで、JR北海道などは「時間帯区分方式」を導入し、新幹線の始発から15時30分ごろまでの時間を、新幹線のみが走る時間に設定。これにより、貨物列車への影響を避けつつ、新幹線の高速運転を実現しています。
繁忙期のスピードアップは、2021年の正月に時速210キロで開始。東京~新函館北斗間を最短3時間55分で結びました。そして今回の時速260キロ運転の実現で、いよいよトンネル内でも新幹線の本領発揮を迎えることとなりました。ただし、在来線と線路を共用する約82キロ区間において、時速260キロ運転が可能なのは、青函トンネル内約54キロの区間のみ。その前後の約28キロについては、引き続き時速140キロが最高速度となります。