JR九州では、小倉~博多間などで特急「きらめき」を運転しています。この列車は2000年に登場したものですが、列車名自体は、かつては九州から遠く離れた北陸地方で使われていました。
北陸を走った特急「きらめき」は、1988年に登場。米原~金沢間を結ぶ列車で、同じ区間を走っていた「加越」の上位種別という位置づけでした。米原駅では新幹線「ひかり」に接続するダイヤが組まれており、首都圏と北陸方面を米原経由で結ぶ列車となっていました。名称は、「ひかり」に接続する列車であることから、光関連のものが採用されたのでしょうか。ちなみに、現在は名古屋駅発着と米原駅発着の2パターンがある「しらさぎ」ですが、米原駅発着は2003年に「加越」を吸収して生まれた系統です。それ以前は、「しらさぎ」は名古屋~金沢・富山間の運転でした。
「きらめき」の車両は、形式こそ「加越」と同じ485系でしたが、専用車両が用意されていました。外観は白地に青色や金色などの色を差した専用塗装で、車内も他列車用より座席間隔が広げられていました。ダイヤにおいても、停車駅が多めの「加越」に対し、「きらめき」は当初は福井駅のみ停車。加えて、運転開始時は全車指定席で運転されているなど、さまざまな面で「加越」との差別化が図られていました。
「きらめき」は北陸地方の西へ向かう列車でしたが、当時これと対になる列車として、金沢・富山~長岡間では「かがやき」が運転されていました。こちらも「北越」より上位の列車という位置づけで、車両は「きらめき」と同じデザインのものを使用。停車駅も少なく、長岡駅では上越新幹線と接続していました。
専用車両まで用意され、首都圏と北陸地方のアクセス改善を図った「きらめき」「かがやき」でしたが、1997年の北越急行ほくほく線開業により、越後湯沢駅発着の特急「はくたか」が運行を開始すると、こちらに置き換えられ、運転を終了してしまいました。なお、「きらめき」と共に走った「加越」は、運転区間が重複していた「しらさぎ」に吸収され、2003年に運転を終了。「北越」は、2016年の北陸新幹線長野~金沢間延伸開業時に、在来線特急「しらさぎ」とともに廃止されています。
「かがやき」は、2016年の北陸新幹線延伸時、最速達種別の愛称として新幹線で復活。在来線特急から新幹線へ生まれ変わった「はくたか」とともに、首都圏と北陸地方を結ぶ列車として運転されています。2024年3月16日に北陸新幹線が金沢~敦賀間で延伸開業すると、新幹線「かがやき」も敦賀駅への乗り入れを開始し、東京~敦賀間を最短3時間8分で結ぶことに。かつての「きらめき」「かがやき」体制とは姿は大きく変わりましたが、ふたたび福井県内に「光の列車」が訪れることになります。