東海道新幹線の歴代車両(JR東海の新幹線車両)には、いずれも先頭車に「ツノ」がついています。300系以前と700系以降では位置が異なりますが、いずれも先頭車の屋根上にあるのは同じです。
このツノは、「指揮官専用機」の証……というわけではなく、走行する電気を供給する架線に、電気が流れているかどうかを検知するためのもの。「検電アンテナ」や「静電アンテナ」と呼ばれています。
JR東海の新幹線車両では目立つツノですが、JR東日本の車両では、ツノが目立たないものも多く存在します。現在活躍する車両では、東海道新幹線の車両のような位置にあるのはE7系だけ。他の形式はどこにあるのかというと、E2系、E3系は屋根に埋め込まれたような形。E5系、E6系、E8系は、パンタグラフカバーの内側に設置されています。引退した車両を見ても、200系と400系は300系などと同じ位置にありましたが、E1系、E4系は、E2系などと同様に屋根に埋め込まれていました。
見た目こそカッコいいツノですが、屋根上の突起物である以上、空気抵抗の悪化や騒音の発生という悪影響は無視できません。JR東日本のほとんど車両では、この対策のためにツノを目立たなくしたようです。同じように、JR西日本の500系も、現在は前から2両目の屋根上に設置していますが、16両編成で活躍していたころは、パンタグラフの内側にツノを設置していました。また、東海道新幹線の最新型車両であるN700Sでは、N700系とは場所こそ変わらないものの、アンテナの形を新しいものに変え、騒音の抑制を図っています。
ちなみに、検電アンテナは新幹線の車両だけでなく、交流区間を走る在来線用車両にも搭載されています。直流区間しか走らない在来線車両にも似たものが搭載されていることがありますが、これはほとんどの場合は無線アンテナ。検電アンテナと異なり、架線の通電状態を確認する機能はありません。