成田空港から京成電鉄の「スカイライナー」に乗って都心へ。40~50分の短い旅を終え、列車は終点の京成上野駅に到着します。上野に着いて、いざ東京観光……の前に、「スカイライナー」が到着したホームの先を、少し覗いてみましょう。
途切れた線路の奥の壁。サッカーボールがめり込んでいる(絵がある)ではないですか。スポーツ用具(のモニュメントなど)がある駅は、ほかにも兵庫県にホーム上の屋根の鉄骨に野球ボールが見られる駅がありますが、これは高校球児の憧れである「あの球場」の最寄り駅だからこそ見られるもの。一方、この京成上野駅は、近隣に有名なサッカー場などはありません。このボールは一体なんなのでしょうか。
じつはこの装飾、サッカーを題材にしたマンガ作品「キャプテン翼」とのコラボ企画で実現したもの。京成では2019年より、押上線四ツ木駅に同作品の装飾を施していますが、2023年10月のアニメ新シリーズ開始を機にそれを一新しました。さらに12月からは、装飾を車両にも展開。「スカイライナー」などで走るAE形に装飾を施した「キャプテン翼ライナー」を走らせており、その幅を広げています。この「キャプテン翼ライナー」、京成上野方の先頭部を見ると、主人公の大空翼が何かを蹴っている姿が確認できます。
もうおわかりいただけたことでしょう。京成上野駅の壁にあるボールは、大空翼が蹴ったもの。駅と列車が合わさって、はじめて完成する作品なのです。
京成線が通る東京都葛飾区は、キャプテン翼の作者・高橋陽一氏の生誕地。同作品で出てくる「南葛市」の名称は、氏の出身校である都立南葛飾高等学校が由来といいます。2023年に始まったアニメの新シリーズは、大空翼たちが日本を飛び出して世界を相手に戦うストーリー。京成もこれに呼応して、キャプテン翼ワールドを四ツ木駅から沿線全体に拡大させた印象を受けます。
AE形の「キャプテン翼ライナー」は、2023年12月から1年程度の運転を予定しているとのこと。これが走っている間は、京成上野駅のサッカーボールを見ることができるものと思われます。