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四国に生きる「おじいちゃん電車」のいま ことでん1070形、世代交代の波をどう受けるか

2024年4月20日(土) 鉄道コムスタッフ 井上拓己

神奈川県逗子市の公園に、かつて京急線を走った600形(2代目)が保存されています。1956年に登場した2扉クロスシート車両で、特急や快速特急を中心に運用されました(現在の2100形と同様の立ち位置)。1986年までに全車両が引退し、京急線からその姿を消しました。

そんな600形ですが、一部の車両が別の地域に渡り、未だに現役で走り続けています。その場所は、東京・神奈川から遠く離れた香川県。高松琴平電気鉄道(以下、「琴電」または「ことでん」)の1070形として、琴平線を中心に運用されています。

香川県のことでんで現役を続ける1070形(元・京急2代目600形)
香川県のことでんで現役を続ける1070形(元・京急2代目600形)

1070形は、琴電最初の冷房車として、2両編成3本が1984年~87年に迎え入れられました。冷房車がいなかった当時、1070形は「琴電のサービスレベルの向上」という重要な役割を担っていたのです。2011年に1本が引退したものの、現在も2本が現役です。

さて、この1070形、琴電への入線にあたり、前面スタイルの大改造を受けました。中央部には扉がありますが、これは行先表示の看板を簡単に取り替えられるようにするため、という説があります。そのため、前面は京急時代の面影が薄れてしまいましたが、テールライトなどに京急時代のものが残っています。なお、車内の座席はロングシートに変わりました。

ことでん1070形(左)と、その改造元となった京急2代目600形(右)。本当に同じ車両なのか、と思う程度には前面スタイルが変わっています
ことでん1070形(左)と、その改造元となった京急2代目600形(右)。本当に同じ車両なのか、と思う程度には前面スタイルが変わっています

入線当初こそ冷房車として歓迎された1070形ですが、現在は平日のラッシュ時に少し稼働する程度になっています。扉数の多い冷房車が充実したいま、乗降に時間がかかる2扉車を入れる理由はあまりない、と考えられているのでしょうか。地元の人でなければ、出会うのは少し難しいようです。

2024年時点で、ことでんの最古参車両となっている1070形。まもなく「デビュー70周年」の大台を迎えます。ですが今年3月頃、ことでんは「60数年ぶりの新型車両を導入する」と発表。2026年度後半~2027年度中に、第1弾として4両(2両編成2本)の営業運転開始を目指すとしています。

ことでんには車齢60年を超えた車両が多く在籍しているため、旧式車両を置き換える順番は、各々の状態などによって大きく変わることでしょう。が、導入数と車齢を考えると、4両が残る1070形を最初に置き換える確率が高いようにも思えます。いよいよ世代交代の波が迫ることでん。1070形の今後に注目です。

 

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