3月16日の北陸新幹線金沢~敦賀間延伸開業で、従来の北陸本線の在来線特急は、同区間での運転を終了。「サンダーバード」は大阪~敦賀間、「しらさぎ」は名古屋・米原~敦賀間の運転となります。これにより、「しらさぎ」のうち7往復は、米原~敦賀間45.9キロ(営業キロ、以下同)のみと、超短距離を走る特急となります。
極短距離を走る特急列車は、JRの定期列車だけでも、JR東日本の「あかぎ」1号(上野~鴻巣間、46.7キロ)、「はちおうじ」(東京~八王子間、47.4キロ)、「おうめ」(東京~青梅間、56.0キロ)、JR九州の「かいおう」(博多~直方間、47.4キロ)などが存在。JR定期特急の最短運転区間となるのはJR九州の「きりしま」81・82号(国分~鹿児島中央間33.7キロ)で、「しらさぎ」はこの記録には及びません。しかし、3月16日に運転を開始する「らくラクやまと」(新大阪~奈良間、52.0キロ)よりも短い距離となり、JR西日本の特急列車としては最短です。
そして、「しらさぎ」が他の短距離特急と異なるのが、その所要時間の短さです。全区間の所要時間を見ると、「きりしま」81号は40分、「あかぎ」1号や「はちおうじ」は50分前後、「らくラクやまと」や「かいおう」は1時間前後、「おうめ」は1時間10~20分程度となっています。一方の「しらさぎ」は、下り列車(米原駅発)は米原~敦賀間を最速30分で走破。上り列車(敦賀駅発)も同区間を33分で走行しています。他の短距離特急列車は、先行列車が多く速度が出しづらいラッシュ時の運転だったり、単線区間の行き違いで時間が掛かってしまいます。一方、「しらさぎ」が走る北陸本線は、全区間が複線。最高速度も時速120~130キロとなっており、スピードが出せる区間のため、所要時間が短くなっています。
ちなみに、「しらさぎ」の上下列車で所要時間が異なるのは、敦賀~新疋田間に上り線のみ「ループ線」があるため。勾配を緩和するために設けられるループ線は、大きくカーブを描くため、遠回りとなってしまうのです。
さらに余談ですが、新幹線延伸前のダイヤでは、米原駅始発の「しらさぎ」53号が、米原~敦賀間を28分で走破していました。「しらさぎ」の最速列車は、改正後でも速い部類の列車ではありますが、実はわずかながら所要時間が増加しているのです。