現在、大阪府に残る唯一の路面電車、阪堺電気軌道。ここには1928年に製造された「モ161形」という車両が在籍しています。が、3月2日、同社の公式インスタグラムで、こんな文言が発信されていました。
「モ164号も間もなく休車となり、本線を走らなくなります」
2024年3月現在で、モ161形は161・162・164の3両が現役で稼働していますが、このうち164号車が運用を離脱するというものです。
鉄道車両の「休車」とは、事情により営業運転などで走らせず、車両基地などで一時保管状態にある車両のこと。廃車ではないので、休車を解除すれば運用に復帰できるのですが、阪堺モ161形については少し状況が異なります。
現役稼働年数90年を超えるモ161形は、使う部品も古く、それらがすでに生産を終了している場合もあります。そのため、車両に不具合が起こっても交換用の部品を調達できず、修理不能に陥ることも。こうなると、残された道は「運用離脱という名の引退」しかありません。今回、公式インスタグラムにて「本線を走らなくなります」と発信していることを考えると、残念ながら、164号車の現役継続は絶望的といえるでしょう。
モ161形では、166号車が、2023年夏に休車扱いで運用を離脱しています。車両そのものは残っているため、車庫での撮影会などでその姿を見ることができますが、運用には現在も復帰していません。164号車もこれと同じような流れをとるものと思われます。
164号車の離脱により、モ161形の現役車両は161号車と162号車の2両を残すのみ。近年まで4両が、老体に鞭を打ちながら日々がんばってきたモ161形ですが、さすがに限界を迎えつつあるのでしょうか。現役100年の記録まで、あと4年。筆者としては、残った車両が、この期間を乗り越えた先の「大記録」を達成してくれることを、願ってやみません。