都道府県庁のJR線の最寄り駅は、各都道府県(JR線のない沖縄県を除く)の「代表駅」と呼ばれています。代表駅はその立地上、市街地の中心部に近く、また重要度も高いためか、ほとんどが特急列車(新幹線を含む)の停車駅となっています。
しかし、2023年3月改正のダイヤまでは、全国46都道府県の代表駅のうち、たった2駅だけ、新幹線も特急も発着しない駅が存在していました。その1駅は、2024年3月16日のダイヤ改正で、晴れて定期特急列車の停車駅となります。
その駅は、奈良県の代表駅である奈良駅。大和路線(関西本線)、万葉まほろば線(桜井線)の駅で、京都へ向かう奈良線の列車も同駅へ乗り入れています。古都・奈良のJR線の最寄り駅である奈良駅ですが、改正前のダイヤでは、同駅を発着する定期特急列車は運転されていませんでした。
過去を振り返ると、1965年には関西本線を走る特急「あすか」が運転を開始しており、同列車が奈良駅にも停車していました。つまり、約60年前には、奈良駅は特急停車駅だったことになります。しかし、その「あすか」も、早くも1967年に廃止されてしまいます。その後も急行列車は存在していたのですが、2006年には名古屋~奈良間の「かすが」が廃止に。以降、同駅を発着する特急・急行列車は、定期列車では存在していませんでした。
今回のダイヤ改正では、平日朝・夕ラッシュ時に走る大和路線経由の特急「らくラクやまと」が誕生。57年ぶりに奈良駅を発着する定期特急列車が走ることになります。
なお、JR線と競合している近鉄では、近鉄奈良駅を発着する特急列車が運転されています。私鉄の特急には有料列車と無料列車がありますが、近鉄特急は有料で、JRの特急に近い存在。近年では観光特急「あをによし」も登場しています。
JR線の方でも、定期特急列車は「らくラクやまと」が久々の設定ですが、臨時列車ではこれまでにも特急「まほろば」が大阪方面~奈良間で運転されています。「まほろば」は、2010年の「奈良デスティネーションキャンペーン」開催時、2019年のおおさか東線全線開業時、2020年、2023年の大阪駅新ホーム(うめきたエリア)開業時以降と、断続的に運転。2024年春シーズンも、3月~6月の運転が発表されています。
ちなみに、定期特急列車が発着しないもう一つの代表駅は、群馬県の代表駅である両毛線の前橋駅。かつては特急「あかぎ」などが同駅を発着していたのですが、2021年に乗り入れが廃止されてしまいました。