今週(3月4日~10日)一週間の鉄道関連ニュースから、鉄道コム注目の話題をご紹介します。まず1本目は、秩父鉄道のSL列車、「SLパレオエクスプレス」の話題です。
パレオエクスプレスをけん引するのは、1944年に落成したC58形363号機。今年で誕生80周年を迎えます。秩父鉄道はこれを記念して、パレオエクスプレスの客車を、4月13日、14日、20日、21日の4日間、旧型客車に変更して運転すると発表しました。
現在は12系客車を使用しているパレオエクスプレスですが、運行開始当初は旧型客車を使用していました。パレオエクスプレスでの旧型客車の使用は、約25年ぶりとのこと。普段はJR東日本高崎支社管内のSL列車などで活躍している旧型客車を使用します。
現在の12系も既にレトロな車両の仲間入りを果たしている世代(1969年デビュー)ですが、それよりもさらに古い、一部は戦前製も含まれるという超レトロな旧型客車。貴重な機会となりそうです。
もう一つご紹介するのは、西武鉄道の無線式列車制御(CBTC)システムの走行試験の話題。同社は6日、3月10日深夜から、多摩川線で同システムの試験を実施すると発表しました。
CBTCシステムとは、無線技術を活用して、列車の位置や速度を常時把握し、列車間の距離を確保する制御するもの。従来のシステムでは、列車位置の検知を目的にレールに電流を流す「軌道回路」が必要でしたが、これが不要になることで、維持管理コストの低減が期待されます。また、地上信号の間隔に左右されずに列車運行が可能となることから、列車の効率的な運行が可能になることや、踏切制御の高度化による踏切待ち時間の短縮など、利用者にとってもさまざまなメリットが生まれます。
同じような無線を活用するシステムは、JR東日本が埼京線、仙石線で「ATACS」として導入しているほか、小海線でも類似したシステムを採用。CBTCシステムとしては、東京メトロ丸ノ内線で実証実験を実施したほか、東京メトロ半蔵門線、都営地下鉄大江戸線、東急田園都市線などでの導入が計画されています。
すでに東京メトロが実フィールドでの検証を進めているほか、伊豆箱根鉄道大雄山線でも実証試験が実施されているCBTCシステムですが、国内大手私鉄の地上線での実施は、西武鉄道が初めて。西武では2030年代に全線へ導入する計画としており、新技術導入に向けた第一歩をいよいよ踏み出します。