3月23日に、北大阪急行電鉄の千里中央~箕面萱野間が開業しました。1970年に開業した南北線(江坂~千里中央間)をさらに北へ延伸した区間で、箕面市の市街地中部と大阪市中心部とのアクセス改善が図られています。
その北大阪急行の延伸区間ですが、同社のプレスリリースではこれまで、「南北線」と「南北線延伸線」、または単に「延伸線」と、複数の表記が混在していました。どちらが正式な路線名なのでしょうか。
北大阪急行に聞くと、路線の正式名称としては、延伸区間も「南北線」になるということ。これまでは(従来の)南北線から延伸する路線とわかりやすく示すために「南北線延伸線」と呼んでいましたが、無事に延伸開業に至ったため、今後は「南北線」と呼んでいくということです。
余談ですが、今回延伸開業した千里中央~箕面萱野間は、準拠する法律が2つ存在します。すなわち、千里中央~箕面船場阪大前(正確には同駅手前)間が「鉄道事業法」、箕面船場阪大前間~箕面萱野間が「軌道法」です。
鉄道事業法は、文字通り鉄道事業を営む場合に準拠する法律。北大阪急行の江坂~千里中央間のほか、JRの新幹線や在来線なども、この法律に準拠しています。
一方の軌道法は、もともとは路面電車のために制定された法律です。現代では適用例が路面電車以外にも広がり、「ニュートラム」や大阪モノレールのような新交通システム・モノレールも、軌道法に準拠した区間が多く見られます。
これはあくまで法律上の話で、北大阪急行の電車が道路上でクルマと同じ平面を走るというわけではありません。軌道法に準拠して路線を整備すると、道路財源が活用できるという、建設資金の理由がその背景にあります。北大阪急行の延伸区間を例にとると、千里中央~箕面船場阪大前間は同社の整備区間ですが、箕面船場阪大前~箕面萱野間は、北大阪急行はインフラ以外を整備。インフラ部は箕面市が整備することで、建設資金を負担しています。
ちなみに、北大阪急行と直通する大阪メトロ御堂筋線は、大阪メトロの前身である大阪市交通局の時代に、市が道路と一体で整備するという方針を掲げた経緯から、全区間が軌道法に準拠しています。両線を直通する箕面萱野~なかもず間の列車は、単に法律上の話ではありますが、始発駅も終着駅も「路面電車の駅」という、少しユニークなものとなっています。