1963年に登場した、国鉄型の近郊電車「113系」。東海道本線や山陽本線、横須賀線、湖西線など、比較的な平坦な中長距離・郊外路線に投入され、高度経済成長期以降の需要を支えてきました。そんな113系も、今年でデビューから61年。さすがに導入初期の車両は残存していませんが、現役車両も既に大ベテランの域に達しており、置き換えが進められています。
113系が現在残るのは、JR西日本の福知山エリアと岡山エリアのみ。前者の5300番台は、山陰本線や舞鶴線、京都丹後鉄道宮福線で運用に就いています。宮福線では、快速「大江山」でも使われており、113系最後の速達列車運用となっています。
その福知山エリアで活躍する113系5300番台ですが、京都鉄道博物館が3月28日、同形式を管内で特別展示すると発表。その際、「今回展示する編成は2024年度中の廃車が予定されています」と説明されました。
「福知山の113系が全廃か」と早とちりした筆者ですが、JR西日本によると、2024年度中に廃車となるのは、今回展示されるクモハ113-5305+クモハ112-5305の2両編成1本のみということ。単純に、運用のやりくりによって1編成が余剰となるため、廃車にするということのようです。
とはいえ、福知山エリアの113系は、今回引退が発表された編成を含め、2両編成6本という小所帯。置き換えが始まれば、すぐに全車引退してもおかしくありません。113系が活躍するもう一つ地域である岡山エリアでも、現在は227系「Urara」の新製投入による置き換えが進行中。いずれにせよ、113系の運用終了は、そう遠くない時期なのかもしれません。
近年は「サイレント引退」する車両も増えていますが、それでも運用末期となれば最後に乗りたい・撮りたいというファンが集まり、時には残念ながら問題が発生することもあります。113系のような先が短いことが明白な車両たちには、今のうちに会いに行ってみてはいかがでしょうか。
京都鉄道博物館での113系の展示期間は、5月16日から21日まで。期間中は車内公開を実施するほか、運転台を見学できる入館券の設定、113系グッズの販売も予定されています。