新年度に突入した今週(4月1日~7日)。この一週間の鉄道ニュースの中から、鉄道コム注目の話題をご紹介しましょう。
まず1本目は、伯備線の特急「やくも」の話題。これまで国鉄型特急車両の381系が活躍してきた同列車ですが、6日には新型車両「273系」がデビューしました。
273系は、381系と同様に、カーブで車体を傾けて走る「振り子式」の車両です。乗り心地を改善する新しいシステムが採用されており、旧式の振り子システムを採用している381系どころか、「スーパーいなば」「スーパーまつかぜ」などで活躍するキハ187系(2000年デビュー)よりも乗り心地が向上したとのこと。「乗り物酔い評価指数」では、キハ187系比で、最大23パーセントの改善を実現したといいます。
その273系に置き換えられる381系は、2024年現在に定期運用を持つ、最後の国鉄型特急電車。6月に定期運用を終了する予定ですが、5日には早くも、パノラマ展望グリーン車つき編成が運用を終了しています。
もう一つの話題は、JR九州の肥薩線。2022年7月の豪雨により被災し、以降八代~人吉~吉松間の運休が続いている同線ですが、JR九州と熊本県は、八代~人吉間を鉄道で復旧することで合意し、4日に合意書を締結しました。
被災前は「SL人吉」や「かわせみ やませみ」などが運転されていた肥薩線ですが、利用者数は芳しいものではありませんでした。八代~葉木間、一勝地~人吉間では代行タクシーが運行されていますが、代行バスではなくタクシーという点で、利用者が限りなく少ないことがうかがえます。葉木~一勝地間は、そもそも代行輸送すら実施されていません。
このような状況から、JR側では鉄路の復旧に後ろ向きだったのですが、今回熊本県の説得がようやく実ったという形です。しかし、復旧が決まってよかった、で終わってはいけません。合意書では、両者連携のもと、「観光を軸とした日本一の地方創生モデルの実現」「マイレール意識の醸成による日常利用の創出」といった利用促進策の実施方針が盛り込まれていますが、なんとかして被災前以上に活力ある肥薩線という形へ成長することが期待されます。