阪急電鉄の十三駅ではこれまで、列車が発車する際に流れる「発車メロディ」が使われていました。しかしながら、このメロディは3月29日で廃止になったことが、同駅に掲出されたポスターによって、事後に明らかになりました。
阪急電鉄の広報担当者に聞くと、十三駅での発車メロディ導入は、可動式ホーム柵(ホームドア)の設置が理由だったといいます。可動式ホーム柵は、阪急電鉄では2018年設置(宝塚線3号線のみ、同4号線、京都線5号線は翌2019年設置)の十三駅が初の導入事例。初めての設備に対する旅客への浸透(認知度向上)などを目的に、メロディを導入したという経緯がありました。
そのメロディが廃止になった理由については、他の駅にも可動式ホーム柵が導入されたことが理由だそう。同社では現在、神戸三宮駅などにも可動式ホーム柵を設置しているほか、西宮北口駅や桂駅などでも設置に向けた準備が進められています。しかし、十三駅以外の各駅では、すでに可動式ホーム柵という設備に対する認知度があるため、発車メロディは導入されませんでした。今後も設置駅が増える中、十三駅のみがメロディつきという仕様違いでは、整備上の不都合があります。そのため、各駅での仕様統一を目的に、十三駅の発車メロディの使用を終了したと、広報担当者は説明しています。
十三駅の発車メロディの作曲者は、ロックバンド「くるり」のメンバーで、鉄道ファンとしても知られる岸田繁さん。メロディの使用終了後、自身のSNSに「5年間使っていただき感謝です」「親しんでくれた人が沢山いて嬉しい」などとコメントを投稿しています。
2019年の可動式ホーム柵設置から約5年という、短い期間で役目を終えてしまった、十三駅の発車メロディ。この曲は今後、他の場所で使われることはあるのでしょうか。残念ながら、阪急電鉄では「今のところは予定にありません」と説明しています。