4月8日~14日の一週間では、SLに関する話題が集中しました。今週一週間の鉄道ニュースをご紹介するこの連載、今回はSLの話題3本を取り上げます。
東武鉄道では13日、「SL大樹」の「車掌車なし」運転を開始しました。
「SL大樹」では、2017年の運転開始以来、SLと客車、後押しするディーゼル機関車(現在は通常時は連結なし)に加え、SLと客車の間に車掌車を連結するスタイルが続いていました。これは、SLが小型のため、営業運転に必要な保安装置(ATS)の搭載スペースが確保できなかったことが理由。車掌車に保安装置を搭載することでこれを解決していました。しかし、同社は今回、「SL大樹」けん引機のうちの1機、C11形123号機にATS搭載を実現。同機のけん引時に限りますが、車掌車なしでの運転を可能としました。
ちなみに、「SL大樹」で活躍するSL、C11形3機のうち、207号機はJR北海道からの借り入れ機で、C11形325号機は真岡鐵道の「SLもおか」で活躍していた車両。一方、今回「車掌車なし」運転を実現した123号機は、約50年間静態保存されていた車両を、東武自らが復元したものとなっています。
「SL大樹」と同じ13日には、秩父鉄道の「SLパレオエクスプレス」が、旧型客車を用いて運転されました。普段は自社で管理する12系を使用する同列車ですが、今回はけん引機のC58形363号機製造80周年を記念して、JR東日本が保有するレトロな車両での運転に。同列車は、1988年の運転開始時点では旧型客車を使用していたため、かつての姿が復活したような状況となっています。この旧型客車による運転は、4月21日までの土曜、日曜に実施される予定です。
週中の10日には、JR西日本が「SLやまぐち号」の運転再開を発表しました。同列車は、山口県内の新山口~津和野間を走るSL列車。1979年に運転を開始した、JRのSL動態保存列車では最も歴史のある列車なのですが、2022年5月からはSLの運休が続いていました。同列車では、C57形1号機、D51形200号機のけん引機2両体制となっているのですが、前者は2020年から車両故障で離脱中。後者も2022年に炭水車(石炭や水を搭載する車両)の不具合が見つかり、これまで長期離脱していました。
今回の「SLやまぐち号」運転再開では、D51形がけん引役として登板します。残るC57形1号機の動向は発表されていませんが、現時点では京都鉄道博物館内の検修庫にて、整備が進められている状況です。