今週一週間の鉄道ニュースをご紹介するこの連載。今回ご紹介するのは、JR東海と西日本鉄道の新たなサービスです。
JR東海は17日、東海道新幹線に個室を導入すると発表しました。「グリーン車よりもさらに上質な設備・サービスを備えた座席として導入」するということで、N700Sの一部を対象に、1編成あたり2席を設置。1人用のプライベート感のあるつくりで、レッグレストつきのリクライニングシートなどを導入するとしています。
新幹線の個室といえば、1985年にデビューした東海道・山陽新幹線の100系が初の事例。100系では2階建て車両の1階に設置されており、1人~4人用のさまざまなタイプがありました。その後には、東北新幹線で活躍した200系のうち、100系タイプの先頭車を持つ編成の2階建て車両にも、100系同様に個室が設置されていました。200系では、1人用、2人用がグリーン個室、4人用が普通席(簡易個室のようなコンパートメント)というつくり。4人用個室では、一部の座席を取り払い、「てもみん」による車内マッサージ店が設置されていたこともありました。
そして、2000年にデビューした「ひかりレールスター」用のJR西日本700系7000番台も、4人用の「セミコンパートメント」を設置。2024年現在は、この700系のものが、新幹線では唯一の個室となっています。
と、過去の新幹線個室を振り返ると、今回導入が発表された東海道新幹線の1人用個室に対し、これまでの個室は複数人利用も考慮したものがありました。JR東海では、オンラインなどの打ち合わせを気兼ねなく進めたいビジネス利用者や、プライバシーを重視する利用者など、さまざまな利用層・シーンを想定したとしています。東海道新幹線で約25年ぶりに復活する個室は、その間のニーズの変化を表しているようです。
もう一つの話題は、19日に西日本鉄道が運転を開始した有料座席列車「Nライナー」。現在は一部火・金曜日に走る臨時列車の扱いで、西鉄福岡(天神)~花畑・西鉄大牟田間で、夜間に3本が運転されます。
近年は、首都圏を中心としたライナー列車、関西圏が中心の有料座席車両と、着席ニーズに応えるサービスの導入が進んでいます。西鉄でも、2019年2月に策定した「第15次中期経営計画」において導入方針が発表されていましたが、新型コロナウイルスの影響か、実現が遅れていました。九州の私鉄では初めてとなるライナー列車。今後、定期運転列車に昇格できるのでしょうか。