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日本で最も歴史のある私鉄とは? 実は考え方で3つ以上も

2024年7月15日(祝) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

日本で最も歴史のある鉄道路線は、1872年開業の新橋~横浜間。現在のJR東海道本線です。では、日本で最も古く、今も残っている鉄道事業者は、どの会社なのかご存知でしょうか。

創業時から社名変更を経験していない会社で最も歴史があるのは、東武鉄道。明治期の1897年創業で、今年で127年の歴史を持ちます。明治創業で、当時から社名が変わっていないのは、東武鉄道、近江鉄道、岡山電気軌道、島原鉄道の4社のみ(路線開業時点から社名変更のない会社を含めれば阪神電気鉄道も)です。

東武スカイツリーライン(伊勢崎線)を走る東武の車両。伊勢崎線の北千住~久喜間は、1899年に開業した、東武で最も古い営業区間です
東武スカイツリーライン(伊勢崎線)を走る東武の車両。伊勢崎線の北千住~久喜間は、1899年に開業した、東武で最も古い営業区間です

伊予鉄道は、東武鉄道より歴史が古く、1888年の創業。創業当時の社名が残る会社としては、伊予鉄道が国内で最も古くなります。ただし、現在この社名を名乗っているのは、2018年に設立された会社。1888年創業の(旧)伊予鉄道は、2018年に持株会社となった際「伊予鉄グループ」という社名に変わっています。また、2018年以前にも、一時期は「伊予鉄道電気」という別の社名を使用していた時期がありました。

路線単位で見れば、1885年に開業した難波~大和川(廃駅)間、現在の南海電気鉄道南海本線の一部が、現在の私鉄路線では最も古い営業区間です。ただし、この区間を開業させたのは南海ではなく、「阪堺鉄道」(現在の阪堺電気軌道とは別)という会社でした。この区間は、和歌山方面への路線建設を目指していた南海鉄道に譲渡(阪堺鉄道は解散)され、現在の南海電車路線網の一部を形成することとなりました。

南海の車両
南海の車両

その南海鉄道は、戦時中の統合で関西急行鉄道と合併。ここで近畿日本鉄道が発足し、組織単位での南海の歴史は一度途切れています。戦後、現在の高野下~極楽寺~高野山間を運営していた高野山電気鉄道が、1947年3月に南海電気鉄道へと社名を変更。6月に旧南海鉄道の路線を近鉄から譲受し、現在の南海につながっています。こうした通り、組織単位では分断がある南海の歴史ですが、同社は創業年を、阪堺鉄道の路線が開業した1885年(ただし阪堺鉄道の前身が設立されたのは、正確には1884年)としています。

現在の南海電気鉄道の路線を建設した会社たち。社名は最終時のもので、駅名は現在のものです(国土地理院「地理院地図Vector」に加筆し作成)
現在の南海電気鉄道の路線を建設した会社たち。社名は最終時のもので、駅名は現在のものです(国土地理院「地理院地図Vector」に加筆し作成)

現存していない会社まで含めると、1880年設立の「東京馬車鉄道」が、日本で最も古い民間事業者です。ただしこの会社は、馬が客車を引っ張る「馬車鉄道」を運営していた会社のため、「路面電車は(狭義の)鉄道ではない」ということからか、「日本最古の私鉄」とは扱われないことが多いようです。ちなみに、東京馬車鉄道の系譜は、後に東京市電を経て、現在の東京都交通局につながっています。

馬車鉄道を除いた最も古い私鉄は、1881年設立の日本鉄道。現在の東北本線や常磐線などを建設した会社で、1906年に国有化されるまで、25年間存在していました。ただし、日本鉄道は実際には半官半民だったそう。民間主導による馬車鉄道以外の私鉄としては、先の阪堺鉄道が最も古く設立された鉄道会社となっています。

 

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