4月30日の運行をもって廃止となる「スカイレール」。ロープウェイのような見た目のモノレールという、世界でもここだけでしか使われていないシステムが特徴的な路線でしたが、採算悪化に加え、部品調達が困難になったことから、運行終了に至ってしまいました。
そのスカイレールは、走行システムばかりが注目されがちですが、乗車システムも先進的。実はスカイレールは、非接触ICカードを乗車券システムに導入した、日本で初めての鉄道路線でした。
1998年に開業したスカイレールは、開業時から定期券をICカード方式としていました。カード規格にはソニーが開発した「Felica」を採用しており、「Suica」や「ICOCA」などの交通系ICカードと同じシステムです。鉄道乗車用サービスとしてチャージ残高で利用できる方式のものは、実証実験を除けば2001年導入のSuicaが国内初でしたが、スカイレールは定期券(および社員用などの優待乗車証)限定ではあるものの、Suicaより早い導入となっていました。また、2013年に乗車券周りのシステムが更新された際には、回数券もICカードとなっています。
普通乗車券や回数券は、1998年の開業時は一般的な磁気券でしたが、2013年のシステム更新時、乗車券はQRコード方式に変わりました。QRコードを用いた鉄道業界の「きっぷ」は、2009年に東武鉄道のライナー列車「TJライナー」の整理券で導入されたのが初めてでしたが、乗車券としてはスカイレールが初導入。磁気券方式では、自動改札機に磁気を読み取るための機構が必要となりますが、QRコード方式とすることで、簡易的な設備への変更が可能となりました。
交通系ICカードは、よく知られているように、今や全国の鉄道・バスで普及しています。QRコード乗車券も、磁気券を代替するシステムとして、ゆいレールや北九州モノレールで導入ずみ。さらに近年は、スマートフォンの画面に表示したQRコードで乗車できるシステムとして、JR東日本やJR東海、東京メトロ、阪神、近鉄、広島電鉄など、数多くの事業者が導入済み、あるいは導入の発表をしています。役目を終えることとなったスカイレールですが、乗車券システムにおいては、日本の鉄道の歴史に残るマイルストーンとなっています。