鉄道コム

鉄道コらム

京急が脱・人力信号操作? 将来に向けた計画で「信号自動制御化拡大」を発表、その中身は

2024年5月20日(月) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

京浜急行電鉄は5月10日、「京急グループ第20次総合経営計画」を策定したと発表しました。同社はその中で、「鉄道事業における次世代型オペレーションの推進」として、「信号⾃動制御化拡⼤」を盛り込みました。

京急の車両
京急の車両

かつての鉄道では、駅の信号やポイントは、すべて駅員が手動で制御していました。しかし現代では、「CTC」(列車集中制御装置)というシステムが、都市部の路線からローカル線まで広く導入されており、拠点駅のCTCセンターから、路線の一部、あるいは全ての信号やポイントを、遠隔で操作できる仕組みが整えられています。さらに、予定したダイヤの情報からCTCを自動で制御するシステム(PRC、自動進路制御装置)や、さらに高度化を図った運行管理システム(JR東日本の「ATOS」など)も、都市部では一般的な存在です。

一方、京急の信号制御は、そのほとんどが旧来の駅扱い。つまり、品川駅や神奈川新町駅など、ポイントのある駅ごとに信号(ポイント含む)を扱う担当社員が配置され、ダイヤに応じて手動で切り替える体制となっているのです。

京急では、品川駅などのポイントがある駅ごとに、信号やポイントを扱う担当社員を配置しています
京急では、品川駅などのポイントがある駅ごとに、信号やポイントを扱う担当社員を配置しています

とはいえ、決して京急が技術的に遅れているわけではありません。たとえば先のCTCは、1954年に久里浜線で導入されたのが、日本初の採用事例。そんな京急が駅扱いの体制を敷いているのは、ダイヤ乱れ時の復旧を迅速化するためです。

「CTC」を導入している京急久里浜線。日本で初めてCTCを導入した路線でもあります
「CTC」を導入している京急久里浜線。日本で初めてCTCを導入した路線でもあります

自動で信号を制御するシステムは、通常時は効率的に運用できますが、ダイヤが乱れてしまうと、柔軟な対応が難しいことがあります。そこで京急は、あえて手動で信号を扱う体制とすることで、輸送障害発生時に臨機応変に対応できるようにしているのです。

とはいえ、制御駅ごとに担当社員を配置する体制は、効率的だとはいえません。そこで京急は、次世代型オペレーションとして、信号⾃動制御化の拡⼤を進めています。

京急の広報担当部署によると、この施策は「保安度の向上や効率化を図るため」というもの。すでに信号取扱所では「運行管理支援システム」の導入を進めており、旧来の体制からの転換に向けて動き始めているようです。

ただし同社によると、現在の段階では、あくまで既存の組織体制のまま、各信号扱所の効率化を図る取り組みだということ。今後、信号扱所の統合といった動きとなるのかと質問しましたが、広報担当者は「現段階では『このような方針で進める』という宣言の段階。詳細はこれから深度化していきます」と説明しました。

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

鉄道コムおすすめ情報

画像

特急などの「座席反転率」

乗っていたら、いつの間にか座席の向きが逆に……。そんな特急・観光列車をご紹介します。

画像

出世した元一般型車両たち

特急・観光列車用に改造された、元一般型車両たち。大出世したさまざまな車両をご紹介します。

画像

「青胴車」2025年2月引退

阪神最後の「青胴車」5001形が、2025年2月にラストランと発表。12月以降はイベントを開催。

画像

ドクターイエロー2本並び

10月末に開催された、浜松工場のイベント。ドクターイエロー2本がならんだ模様などをご紹介。

画像

東武の車両「記録推奨度」

この車両、いつまで走る? 引退が危ぶまれる車両や、見た目が変わりそうな車両をご紹介。今回は東武編です。

画像

12月の鉄道イベント一覧

2024年も残りわずか。師走の鉄道旅行や撮影の計画には、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。

画像

イベント投稿写真募集中!

鉄道コムでは、臨時列車や基地公開など、さまざまなイベントの投稿写真を募集中! 投稿写真一覧はこちら。