京浜急行電鉄は5月10日、「京急グループ第20次総合経営計画」を策定したと発表しました。同社はその中で、「鉄道事業における次世代型オペレーションの推進」として、ワンマン運転の導入を盛り込みました。
首都圏の大手私鉄でワンマン運転を実施していないのは、京急、小田急、相鉄の3社。小田急は、自社路線ではありませんが、2025年度以降に箱根登山電車の小田原~箱根湯本間で、ワンマン運転の試験運用を開始する予定。相鉄では8または10両編成のみの運転で、他社では同両数による実施例があるとはいえ、ワンマン運転向きの路線ではありません。一方、京急の場合は、最短では4両編成の列車が存在。ワンマン運転向きながらツーマンのまま運用を続ける、首都圏大手私鉄では最後の存在となっていました。
京急の広報担当部署によると、ワンマン運転の導入対象路線は、現段階では未定とのこと。詳細は改めて発表するとしています。
ただし、同日に発表された京急の2024年度鉄道事業設備投資計画と照らし合わせると、ワンマン運転の導入対象路線が見えてきます。設備投資計画では、2026年度までのホームドア設置対象駅として、24駅を発表。その中には、京急川崎駅3番線(ただし24駅中には含まず)のほか、港町、鈴木町、川崎大師、東門前、大師橋、小島新田の各駅が含まれています。つまり、大師線の全駅が、2026年度までにホームドア設置駅となるのです。
京急川崎~小島新田間を走る大師線は、全列車が4両編成での運転。短編成かつ普通列車のみの運転というダイヤのため、ワンマン運転の導入には最適な路線です。ワンマン運転にはホームドアが必須というわけではありませんが、列車の発着時に車両へ接触する事故を防ぐため、他社では安全柵や安全センサーなどを導入している路線が見られます。利用者が比較的多い路線でのワンマン運転導入に向けては、やはり何かしらの安全設備を整備することが多いようです。
設備投資計画によると、大師線以外にも、2026年度までに空港線の全駅へホームドアが設置されるよう。こちらでのワンマン運転開始という可能性もゼロではありませんが、自社車両のみの運転である大師線に対し、空港線は他社車両も数多く乗り入れています。仮に空港線でワンマン運転を実施する場合、他社車両の改造も必要となるため、一筋縄ではいきません。中長期的な展開はともかく、直近のワンマン運転導入対象とは考えにくい路線です。
第20次総合経営計画では、ワンマン運転について、2026年度までの中期経営計画期間中に導入すると説明されています。