2023年に宇都宮ライトレールが開業したことで、いわゆる路面電車を運営する事業者は全国で19社局になりました。これらのうち、JRの駅などにアクセスできる停留場の名称に「駅」や「駅前」が付く例があるのは15社局。今回はその分布、傾向についてご紹介します。
都市や地域を代表する駅の近くや高架下などにある停留場で、「〇〇駅」と称するケースは、高岡駅停留場、福井駅停留場、広島駅停留場など6つ。対して「〇〇駅前」は21に上り、主流となっています。このうち、都電荒川線、阪堺電気軌道、とさでん交通、鹿児島市電は「〇〇駅前」がいずれも3つ。主流派のベースになっていると言えます。なお、豊橋鉄道市内線には、豊橋駅の東口に「駅前」停留場があるほか、軌道法に基づく路面電車の分類には該当しないものの、筑豊電気鉄道には黒崎駅前駅もあるので、これらを加えると23に増えます。
社局ごとに「駅派」か「駅前派」に大別されるものの、富山地方鉄道(富山駅、南富山駅前)、伊予鉄道(松山市駅、JR松山駅前、大手町駅前)の2社はどちらもあるので、停留場名に正確さを期す場合は注意が必要です。
「〇〇駅」「〇〇駅前」に類するケースとしては、宇都宮ライトレールの宇都宮駅東口停留場、富山地鉄の電鉄富山駅・エスタ前停留場が挙げられます。他社線の駅との関連がなく、その名称自体に「駅」が含まれる異色な例もあります。岡山電気軌道の「東山・おかでんミュージアム駅」停留場です。当停留場と岡山駅前停留場があるという点で、岡山電気軌道は富山地鉄、伊予鉄道と同類と言えるでしょう。
6月10日は、6(ろ)、10(でん)の語呂合わせで「路面電車の日」。「駅」や「駅前」が付く停留場を足がかりに、路面電車の旅を楽しんでみてはいかがでしょう。
駅名の末尾が「駅」という例は路面電車以外にもあり、一畑電車の湖遊館新駅駅が該当します。逆に駅名の最初が「駅」というのもあります。福山市駅家町にある福塩線の駅家駅です。駅名看板などを見に両駅に足を運ぶのもいいと思います。