東海道・山陽・九州新幹線の歴代車両形式は、1964年の東海道新幹線開業時にデビューした0系にはじまり、100系、300系、500系、700系、800系、N700系、N700Sと続いています。抜けている形式のうち、200系は東北・上越新幹線用、400系は山形新幹線「つばさ」用として、それぞれJR東日本エリアで活躍した車両で使われていました。
とすると、新幹線の形式名で使われていないのは、600系と900系の2つ。このうち600系は、当初この形式名を名乗る予定だった車両が存在しました。
600系となるかもしれなかった車両は、1994年にデビューした、JR東日本のE1系。「Max」の愛称を持つ、新幹線初のオール2階建て車両です。開発発表時は600系とされていたのですが、実車登場までに現在知られる形式名に改められました。
形式名の「E」は、JR「東」日本=JR "E"astを示すもの。同社保有車両としては初めての新幹線新規開発車両(すでに運用中だった400系は第三セクター「山形ジェイアール直行特急保有」が保有する車両)として登場したため、形式名を従来の3ケタから改めたといいます。ちなみに、同社車両の形式名に「E」をつける動きは、1993年デビューの「スーパーあずさ」用E351系が先行しています。
JR東日本はその後、1990年代だけでも、E2系、E3系、E4系と、新たな新幹線車両を矢継ぎ早に投入してきました。仮に形式名が3ケタのままだったとすると、E3系以降は3ケタでは収まらなくなっていました。公式には触れられていませんが、新たな形式付与方式に移行したのは、その先の番号の枯渇を見据えたものだったのでしょうか。ちなみにJR東海でも、700系、N700系、N700Sと、最近の車両では形式名の百の位を7としており、4ケタ形式に踏み込んではいません。
なお、もう一つの欠番である「900」は、旅客を乗せることのない「事業用車」の形式で使うことになっています。900系という形式名は存在しませんが、たとえば「幸せの新幹線」として知られる「ドクターイエロー」は923形、JR東日本版のドクターイエロー「East i」はE926形、時速360キロでの営業運転を目指す試験車両「ALFA-X」はE956形など、みな900番台の形式を名乗っています。