京成電鉄は5月20日、新型車両「3200形」の詳細を発表しました。「人や環境にやさしいフレキシブルな車両」がコンセプトで、編成車両数をフレキシブルに変更できる車両だということです。
フレキシブルに編成車両数を変更できる車両とは、どういうものなのでしょうか。京成によると、3200形は「2両単位で車両数を変更可能とすることにより、一時的な輸送需要の増減の際に増結・分割することが可能」だということ。具体的には、「『先頭車+中間車』のユニットを多数導入し、自在に組み合わせて4両~8両編成を組成」する形式だといいます。同社の現行車両である3500形に似たしくみのようです。
3200形が発表された際、SNSでは「電気連結器」を搭載していることが一部で話題となりました。電気連結器は、運転操作(加速やブレーキなど)の指令情報や、放送、空調などの情報を、連結相手に伝送できる装備。京成では初導入です。同社に導入の理由を聞くと、「車両の分割併合を容易に実施すべく電気連結器を採用しました」とのこと。これがない場合は専用のケーブル(ジャンパ線)を接続する必要がありますが、電気連結器ではジャンパ線よりも連結・解放時の作業を削減できるというメリットがあります。
電気連結器は、通常であれば1段、または上下の2段の配置となっています。しかし、3200形のイメージ画像をよく見ると、上下2段のほか、左右にも電気連結器を配置した構成のよう。京成は、「車両間を引き通す電線の関係上、上下左右の搭載が必要となります」と説明しています。同様に左右の電気連結器を搭載した例は、JR四国の8000系や8600系など、JR九州の821系やYC1系でも見られます。
ちなみに、京成の直通先各社局の車両のうち、都営地下鉄の5500形、京浜急行電鉄の各形式(6両編成を除く)では、3200形同様に電気連結器を搭載しています。他社局車両との電気連結器の互換性や、これを使用しての協調運転が可能かを聞きましたが、「機械的な連結は可能ですが、電気的に連結・協調はできません」との回答がありました。
3200形は、2025年冬に導入する予定。2024年度は6両を導入するといいます。画像では、行き先などが千葉線をイメージした表示となっていましたが、京成は「運用については未定」としつつ、「乗り入れ各社線も含め全線走行可能な仕様となっています」としています。
なお、京成が今後導入する一般車両は、3200形に完全に切り替えるとのこと。3200形より前に導入されていた、2019年デビューの3100形については、成田スカイアクセス線用の8両編成7本という少数の導入で終わるようです。